トランプ政権、領土譲歩を条件にウクライナへNATO型安全保障を提案、議会承認を要求

2025年12月13日に報じられた情報によると、ドナルド・トランプ大統領の政権は、ウクライナ紛争の終結を目指す包括的な和平の枠組みとして、ウクライナに対し北大西洋条約機構（NATO）の第5条に類似した法的拘束力のある安全保障を提供する用意がある模様である。この提案の実現には、米国の連邦議会による承認という政治的条件が付随している。

この枠組みは、平和、安全保障、戦後復興の三つの協定で構成されるとされ、その核心的な難題は領土問題にあると指摘されている。提案されている和平案の骨子は、ウクライナが現在保持する領土の約80パーセントの主権を維持するという点にあり、これはドンバス地域における領土譲歩を意味すると解釈されている。具体的には、譲歩地域に非武装地帯が設定される可能性が示唆されており、これはロシア側が一方的に併合を主張してきた要求と一致する部分があるとの見方もある。この80%の主権維持という条件は、ウクライナが歴史上最も強固な安全保障を得るのと引き換えとなる。

この重要な外交的動きと並行し、2025年12月13日、キーウではエネルギー施設に対する大規模な攻撃が発生し、数千人が停電に見舞われた。インフラへの甚大な被害は、停戦交渉の緊急性を浮き彫りにすると同時に、ウクライナ側が直面する厳しい現実を示している。ウクライナによるロシアのエネルギー施設への攻撃は、戦争資金源を断つことを目的としており、8月以降、製油所の完全な安定化を阻止する持続的な作戦へと変化しているとの分析がある。

和平交渉の推進役として、米国のスティーブ・ウィトコフ特別特使と大統領顧問のジャレッド・クシュナーが、ベルリンでゼレンスキー大統領やドイツ、フランス、イギリスなどの主要な欧州首脳と会談する予定である。ウィトコフ特使とクシュナー顧問は、以前にもプーチン大統領と約5時間にわたる協議をクレムリンで行っており、その際、トランプ政権は和平合意を目指す方針を明確にしていた。特使は、提案された安全保障は強力であるべきだが「空白の小切手」であってはならないとの見解を示している。

NATO型の安全保障の概念は、集団防衛の原則を内包しており、これはウクライナが長年希望してきたNATO加盟に代わるものとして注目されている。欧州の指導者たちは、ロシア軍がまだ占領していない領土の割譲を伴う合意を急ぐべきではないと、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に助言したと報じられている。この複雑な外交的駆け引きの中で、欧州諸国の慎重な姿勢がゼレンスキー大統領の最終的な決断にどのような影響を与えるかが、今後の焦点となる。