待望の5ドア版Mahindra Thar登場：オフロードの伝説が遂にファミリーユースに対応

2025年、長らく待ち望まれていた5ドア仕様のMahindra Tharが市場に投入されました。これは、オフロード性能という象徴的な地位を維持しつつも、その顧客層を大幅に拡大することを目的とした戦略的な一歩です。Mahindra & Mahindra Ltd.によるこの動きは、3ドアモデルがその人気にもかかわらず、多くのファミリー層にとってはニッチすぎたという、限られた室内空間の問題に直接対処するものです。

新型SUVは、新開発のM_Glydeプラットフォームを基盤とし、フレーム構造が再設計されました。メーカー側の説明によれば、これにより先代モデルと比較して乗り心地の向上が図られ、車内への騒音侵入も低減される見込みです。この改良は、日常的な使い勝手を重視する現代の消費者の期待に応えるものです。

5ドアTharの外観は、そのタフで力強い個性をしっかりと継承していますが、ホイールベースが2850mm、全長が4428mmへと延長されたことで、より均整の取れた、洗練されたプロポーションを獲得しています。サイズアップは視覚的にも好影響を与え、SUVとしての存在感を一層高めています。丸型ヘッドライトや特徴的なボンネットといった伝統的な意匠はそのままに、利便性を飛躍的に高める5ドア化が最大の変更点です。

最も顕著な進化が見られるのはインテリアです。ここでは、プレミアム感と実用性の両立が図られました。後部座席は格段に快適になり、十分なレッグルームとヘッドルームが確保されています。特に、中央部分の床がフラット化されたことで、3名の乗車でも無理なく座れるようになり、家族利用における快適性が向上しました。また、ドア開口部が広くなったため、乗降性も改善されています。さらに、荷室容量は447リットルに達し、長距離の旅行にも十分対応できる実用性を備えています。

車内には最新のテクノロジーが導入されました。デジタルメータークラスターと、ナビゲーション機能およびアドベンチャースタッツを備えたインフォテインメントシステムとして、それぞれ10.25インチのディスプレイが2基搭載されています。Mahindraの他モデルから受け継いだ装備として、前席のベンチレーション機能付きシート、パノラミックルーフ、そしてHarman Kardon製の9スピーカーオーディオシステムが採用され、キャビンの装備水準が一段と引き上げられました。

快適性の追求にもかかわらず、オフロード性能は依然として最優先事項です。新型車は、堅牢なラダーフレーム構造を維持しており、最低地上高は226mmを確保しています。また、フロントアクスルが機械的に接続されるパートタイム四輪駆動システムと副変速機（ローレンジギア）も健在です。アプローチアングルが41.7度、デパーチャーアングルが36.1度であり、渡河能力は650mmに達しており、厳しい地形への対応力を証明しています。

パワートレインには、実績のある2.0リッターのターボガソリンエンジン「mStallion」と2.2リッターのターボディーゼルエンジン「mHawk」が用意され、それぞれマニュアルまたはオートマチックトランスミッションが選択可能です。四輪駆動のオートマチック仕様のディーゼルエンジン「mHawk」は、最高出力129kW、最大トルク370Nmを発揮します。一部情報によれば、ガソリンモデルは後輪駆動（RWD）のみの設定となる可能性があり、一方ディーゼルモデルはRWDと4WDの両方が提供される見込みです。

安全性と走行安定性の面では、6基のエアバッグ、横滑り防止装置（ESC）、タイヤ空気圧監視システム（TPMS）、そしてアダプティブクルーズコントロールといった先進的な機能が組み込まれました。長いホイールベースのおかげで高速道路での挙動は安定しましたが、低速域での取り回しを向上させるため、上級グレードにはインテリジェントな「インテリターン」システムが搭載されました。これは、タイトなカーブで内側の後輪を意図的に減速させ、回転半径を縮小させる機能です。