インド人宇宙飛行士、無重力下での食事体験を語る

インド人宇宙飛行士のシュバンシュ・シュクラ氏は、アクシオン・ミッション4（Ax-4）で国際宇宙ステーション（ISS）に滞在中、無重力環境下での食事について貴重な洞察を共有しました。シュクラ氏は、宇宙での消化は重力ではなく蠕動（ぜんどう）運動によって行われることを強調し、食事の際には「ゆっくりが速い」という考え方を実践する必要があると述べました。これは、食べ物が浮遊するのを防ぎ、確実に摂取するための重要な心得です。

シュクラ氏は、宇宙飛行士仲間とガジャール・ハルワやムング・ダル・ハルワといったインドの伝統的な甘味を共有し、ISSに故郷の味をもたらしました。このような食文化の交流は、長期間の宇宙滞在における乗組員の精神的な健康と士気を高める上で、非常に重要な役割を果たします。

宇宙食の歴史は、1960年代の有人宇宙飛行開始以来、目覚ましい進化を遂げてきました。初期の宇宙食はチューブに入ったクリーム状やゼリー状のものが主流でしたが、現在ではレトルト食品、フリーズドライ食品、さらには新鮮な果物や野菜まで、多様なメニューが提供されています。これは、宇宙での食事体験をより豊かにし、宇宙飛行士のパフォーマンス維持に貢献するという認識の高まりによるものです。

特に、宇宙日本食の開発は、日本食の美味しさと安心感を宇宙空間で提供することを目指しており、カレーライスやラーメン、おにぎりなどが含まれます。これらのメニューは、宇宙飛行士が故郷の味を思い出すことで、精神的なストレスを軽減し、地球との繋がりを感じるための重要な要素となっています。カレーが宇宙食として長年定番となっているのは、そのスパイスが宇宙での味覚の変化に対応しやすく、保存性や栄養バランスの調整のしやすさにも起因しています。

シュクラ氏の経験は、宇宙での食事が単なる栄養補給にとどまらず、文化交流や精神的な支えとしての側面も持つことを示唆しています。宇宙開発が進むにつれて、食の技術はさらに進化し、宇宙での生活をより豊かにしていくことでしょう。