インドネシア、学校給食プログラムに栄養教育を統合、初等中等教育省が指針策定

編集者: Olga Samsonova

インドネシア政府は、新たに開始した無償栄養給食プログラム(MBG: Makan Bergizi Gratis)の長期的な効果を確実にするため、教育現場における栄養リテラシーの向上を必須とする方針を打ち出した。この戦略的措置は、単に食事を提供するだけでなく、次世代の人的資源の質を向上させるという国家目標に基づいている。具体的には、初等・中等教育省が教育関係者向けに専門モジュールを作成し、技術指導指針を全国の学校へ配布した。この統合的アプローチは、国内の深刻な栄養課題への根本的対策として位置づけられている。

新しい教育カリキュラムは、給食提供と密接に連携して実施される。義務付けられたのは、食事前の5分間のシミュレーションであり、生徒が提供された食事の栄養価やバランスについて実践的に学ぶ機会を提供する。さらに、この栄養に関する知識は、国語教育であるバハサ・インドネシアの授業時間内にも組み込まれる予定であり、学術的学習と生活習慣の形成の両立を目指す。このMBGプログラムは、2025年1月6日に190か所で試験的に開始され、当初は約60万人が対象となったが、2025年末までには1,500万人に拡大する計画が示されている。この大規模事業は、プラボウォ大統領の旗艦政策の一つであり、2045年の先進国入りを目指す「インドネシア・エマス2045」ビジョンの柱とされている。

MBGプログラムは、2022年時点で発育阻害(スタンティング)率が21.6%に達していたインドネシアの栄養不良問題に対処するために導入された。プログラムの運営を主導するため、国家栄養庁(BGN)が2024年8月に新設された。食事の提供は、栄養充足サービスユニット(SPPG)と呼ばれる地域密着型の施設を通じて行われ、各SPPGはおおよそ3,000食を提供する能力を持つ。献立は炭水化物、タンパク質、ビタミン、水分を考慮して設計されており、地域農家や中小企業からの食材調達が奨励され、輸入品の使用は原則禁止されている。例えば、タンゲラン・スラタン市の学校では、米、鶏の照り焼き、豆腐、インゲン豆の炒め物、オレンジが提供された事例が報告されている。

教育現場への栄養教育の統合は、日本の学校給食制度における「食育」の概念から示唆を得ている側面がある。JICAは長崎大学と連携し、2024年9月にインドネシアの行政官を対象に日本の学校給食に関する研修を実施し、栄養基準や衛生管理、食育のノウハウを提供した。研修参加者からは、日本の給食が単なる食事提供に留まらず、配膳や片付けを含めた食育を通じて感謝の気持ちを育んでいる点に感銘を受けたとの声が上がっている。インドネシアの教育行政は、初等・中等教育省と宗教省が関与しており、この給食プログラムは両省庁の管轄下の学校に適用される。教育の質と効果を高めるため、2024年10月の新内閣発足に伴い、教育関連省庁は初等・中等教育省、高等教育・科学技術省、職業教育・訓練省の三つに分割された経緯があり、今回の栄養教育義務化は初等・中等教育省の管轄下で推進されている。

この国家プロジェクトの成功は、インフラ整備の進捗と財源の持続可能性に大きく依存する。当初の試験導入段階では、インフラ準備の遅れから計画よりも少ない対象者数でスタートしたとの指摘がある。しかし、政府は2029年までに8,290万人への提供達成を目指しており、そのために必要な国家予算は初年度で約6,000億円(GDP比0.5%)と試算されている。この巨額の財政支出は、地方経済の活性化と雇用創出という景気刺激効果も期待されるが、財政健全性への懸念も専門家から提起されている。教育への投資として、この栄養教育と給食の組み合わせは、貧困による疎外感の軽減と、将来の生産性の高い労働力の育成という二重の成果を目指す、極めて戦略的な国家プロジェクトである。

ソース元

  • TEMPO.CO

  • Tempo.co

  • RRI

  • Kemendikdasmen

  • VOI

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