インドネシア・サレ湾、世界初のジンベエザメ稚魚確認で繁殖地としての重要性が浮上
編集者: Olga Samsonova
インドネシアの西ヌサ・トゥンガラ州に位置するサレ湾において、研究者らが新たに生まれたばかりのジンベエザメの存在を公式に確認した。この事実は、サレ湾が世界で初めて科学的に裏付けられたジンベエザメの繁殖場となる可能性を示唆しており、世界最大の魚類であるジンベエザメの生態解明と保全戦略に新たな光を投じている。
この特筆すべき観測は、地元の漁師が一時的に捕獲した後、解放した個体から得られた。記録されたネオネート(生まれたばかりの個体)は生後約4ヶ月と推定され、体長は135センチメートルから145センチメートルの範囲にあった。世界的に、体長1.5メートル未満のジンベエザメの公式な記録は極めて稀少であり、今回の事例は保全上の観点から高い価値を持つ。ジンベエザメは成長すると最大で体長19メートル、体重30トンに達するが、水族館などで見られる個体は平均して体長4メートル程度である。
サレ湾の地理的特性がこの現象の背景にあると推測されている。湾特有の穏やかな水域と豊富な栄養供給が、巨大魚の幼魚にとって理想的な初期の摂餌環境を提供していると考えられる。ジンベエザメは主にプランクトンを濾過して摂取する生物であり、その食生活は海洋の食物連鎖で重要な位置を占める。研究によれば、ジンベエザメは1時間に6,000リットル以上の海水を処理する能力を持つ。
保全活動の推進者たちは、現時点での証拠は強固であるものの、サレ湾が正式な繁殖地として認定されるには、さらなる長期的なモニタリングと継続的な調査が必要であると強調している。この地域では既に保全の取り組みが進行中であり、関係各所はサレ湾内にインドネシア初となるジンベエザメ専門の海洋保護区(Marine Protected Area)を設定するよう働きかけている。ジンベエザメは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて「絶滅の危険が増大している種(Endangered)」に分類されており、その生息域や移動経路の解明は喫緊の課題である。
今回の発見は、海洋研究と保全活動における地域住民、特に地元の漁業従事者の不可欠な役割を改めて浮き彫りにした。彼らが現場で提供する直接的な観察記録は、学術的な調査では捉えきれない貴重な一次情報となる。例えば、海遊館ではバイオロギング技術を用いてジンベエザメの回遊ルート解明に注力しており、今回のサレ湾での発見は、そうした広範な研究活動に具体的な生息域のデータを提供する。
ジンベエザメの飼育の難しさは、その巨大な体躯と特有の呼吸法に起因する。彼らは回遊魚であり、「ラム換水」という泳ぎ続けることで口から新鮮な海水をエラに取り込み呼吸する習性があるため、停止すると窒息の危険に晒される。このため、長期飼育には24時間泳ぎ続けられる広大な水槽が絶対条件となる。また、1日に数十キログラムのプランクトンを消費するため、莫大な餌代と水質管理の維持コストも飼育の障壁となっている。
サレ湾での幼魚の確認は、この種の生物が特定の沿岸域を繁殖や育成の場として利用しているという仮説を裏付ける重要な証拠となる。今後、この湾が保護区として指定されれば、ジンベエザメのライフサイクル全体を理解し、絶滅の危機にあるこの海洋巨人を守るための具体的な一歩となるだろう。この発見は、海洋生物の保護戦略において、地域社会との連携がもたらす価値を示している。
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ソース元
TEMPO.CO
OANA News
INP (Indonesian National Police)
TEMPO.CO
MDPI (Diversity Journal)
Indonesian Conservation
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