ニュージーランド、クジラに「法的人格」を付与する法案を提出
編集者: Olga Samsonova
海洋生態系の維持に不可欠なクジラ類は、栄養循環を担い、大規模な炭素隔離能力を通じて地球環境の健全性に寄与している。しかし、気候変動や人類の活動による脅威は依然として深刻であり、その保護のあり方が世界的に問われている。例えば、北大西洋のノース・アトランティック・ライトホエール(セミクジラ)は漁具の絡まりにより存続の危機に瀕している一方、ザトウクジラの一部個体群は、食性の柔軟性も相まって顕著な回復傾向を示している。世界的に見て、漁具への絡まりは年間数十万頭のクジラに影響を与える主要な脅威であり続けているが、ザトウクジラについては、歴史的な低水準から推定80,000頭規模への回復が確認されている。
このような背景の中、アオテアロア・ニュージーランドでは、2026年2月11日に画期的な法案が提出された。これは、マオリ語で「トホラ(Tohorā)」と呼ばれるクジラに対し、固有の権利を伴う「法的人格」を認めることを目指す「トホラ・オランガ法案(Tohorā Oranga Bill)」である。同法案は、ニュージーランド議会にテアヌイ・トゥイオノ議員によって提出され、環境および海事法における意思決定者がクジラの権利を認識し、擁護することを義務付ける。この動きは、ニュージーランド先住民マオリの価値観である「テ・アオ・マオリ(te ao Māori)」の原則に深く根ざしており、単なる損害軽減モデルではなく、関係性に基づいた価値中心のアプローチを採用している。
法案が定めるクジラの固有の権利には、移動と回遊の自由、自然な行動の保護、健全な海洋環境で繁栄する権利、そして生息地と生態系の回復および再生の権利という五つの基本原則が含まれる。この法案は、マオリが以前から訴えてきた、クジラへの人間と同等の権利付与の要求と軌を一にするものであり、マオリが崇拝する河川に法的人格を認めた2024年の議会決定に続く、自然の権利擁護における重要な一歩と見なされている。法的人格の付与は、クジラに代わって人々が法廷で訴訟を起こせるようになり、より厳格な保護を可能にする。
国際的な文脈では、海洋哺乳類の飼育に関する倫理的議論が活発化している。フランスでは、2021年の法律によりクジラ類の飼育とショーが禁止され、2026年12月までに移行が義務付けられている。この法律の結果、フランス南部のマリンランド・アンティーブが2025年1月に閉鎖されたが、スターアトラクションであったシャチのウィキー(23歳)とその息子ケイジョ(11歳)を含む海洋哺乳類が、受け入れ先が見つからず取り残される事態が発生した。フランスのエコロジカル・トランジション大臣アグネス・パニエ=ルナシェールは、動物福祉に関する広範な規制がないことを理由に、ウィキーとケイジョを日本へ移送する提案に反対を表明している。これらのシャチは、2023年に兄弟のモアナ、2024年に叔父のイヌークが死亡した経緯を経ており、劣悪な環境下での生存が懸念されている。
クジラの保護は、個体数回復の現状と並行して、海洋の生産性維持という地球規模の課題と結びついている。クジラは深海から表層へ栄養分を運ぶ「ホエールポンプ」として機能し、植物プランクトンの成長を支える。また、クジラが死んで海底に沈む「ホエールフォール」は、深海生物多様性を数十年にわたり支える独自の生態系を形成する。こうした生態学的役割の重要性から、ニュージーランドの法案は、単なる動物愛護の枠を超え、海洋環境全体の持続可能性を担保する試みとして、国際的な注目を集めている。この法案の動向は、今後の世界の自然保護法制に影響を与える可能性がある。
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ソース元
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Our Culture Mag
Holiday Today
NOAA Fisheries
Waatea News: Māori Radio Station
World Population Review
info.gouv.fr
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