ドローンによるクジラ呼気サンプリング、北極圏でクジラモルビリウイルスの初検出に貢献

編集者: Olga Samsonova

科学者たちは、ドローンを用いてクジラの噴霧(ブロー)を採取する非侵襲的な手法を導入し、海洋哺乳類の内部健康状態を評価する新たな道筋を確立した。この先進技術により、研究チームは大型海洋哺乳類を捕獲したり直接接触させたりするストレスを与えることなく、呼吸によって放出される微細な液滴に含まれる生物学的マーカーを詳細に分析できるようになった。特に北極圏のような遠隔地でアクセスが困難な海域における個体群のモニタリングにおいて、この手法の重要性が高まっている。

ノルウェーのノルド大学コートニー・ウォーフ教授の研究チームが主導した国際共同研究は、このドローンサンプリング技術を決定的に活用した。2016年から2025年にかけて、ノルウェー北部、アイスランド、アフリカ西海岸のカーボベルデを含む北東大西洋全域で実施された調査では、ザトウクジラ、マッコウクジラ、ナガスクジラなどが対象とされた。その結果、北極圏のクジラ集団において、大規模な座礁の原因となることで知られるクジラモルビリウイルス(Cetacean morbillivirus: CeMV)の存在が、北緯66度33分以北で初めて確認された。CeMVはモルビリウイルス属に属し、クジラ類に重篤な呼吸器、神経系、免疫系の損傷を引き起こすことが知られている。

この国際調査では、ドローンによる噴気採取と並行して皮膚生検も実施され、より包括的な健康評価が実現した。CeMVは世界中で高い死亡率を伴う流行を引き起こしており、特にヨーロッパ、米国、オーストラリアのハクジラ類で確認されている。この非接触型の早期検出能力は、大規模な死亡事象が発生する前に適切な保全措置を講じる上で極めて重要であると評価されている。また、日本鯨類研究所も、南極海での鯨類資源調査(JASS-A)において、自律型VTOL機「飛鳥・改五」を2023年1月に南極で飛行させる計画を立てるなど、ドローン技術を海洋調査に応用する動きが世界的に進んでいる。

ドローンサンプリングの利点は、倫理的配慮を保ちつつ、病原体のモニタリングを大規模かつ持続的に実施できる点にある。この技術は、従来の船上からの目視調査や、船の航行が困難な海氷域での調査を補完するものである。日本鯨類研究所が開発した「飛鳥改五 二型」は洋上で104kmの飛行距離を達成するなど、その実用性が示されている。研究の筆頭著者であるノルド大学のヘレナ・コスタ博士課程研究員は、今後ドローンを用いて新たなストレス要因がクジラの健康に与える影響を長期的に監視していく意向を表明している。この空中からの診断アプローチは、海洋生物学におけるデータ収集のパラダイムシフトを象徴し、種の持続可能性に向けた科学的基盤を強化するものである。

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ソース元

  • Pravda

  • Oceanographic Magazine

  • УНН

  • The Independent

  • Discover Magazine

  • King's College London

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