全粒穀物摂取の健康効果と国際的な食生活指針の動向

編集者: Olga Samsonova

専門家らは、日々の食生活に全粒穀物を段階的に導入することが、顕著な健康状態の改善に繋がると強く推奨している。全粒穀物とは、小麦、大麦、ライ麦、オーツ麦などの穀物やキヌアなどの擬似穀物から、精製過程で果皮、種皮、胚を取り除かず、必須の食物繊維、ビタミン、ミネラルを完全に保持したものを指す。この栄養学的アプローチは、心血管疾患のリスク低減、全死因死亡率の低下、さらには2型糖尿病や特定のがんの発症率の減少と関連付けられている。

米国保健福祉省と米国農務省が共同で発行した2015-2020年版の米国人のための食事ガイドラインでは、摂取する穀物の少なくとも半分を全粒穀物とすることが推奨され、精白穀物からの置き換えが示唆されている。また、367,442人の高齢成人を対象としたAARPの食事と健康に関する研究では、全粒穀物の摂取量が多い群は、少ない群に比べて全死因死亡リスクが17%低く、心血管疾患による死亡リスクも17%低下したとの関連性が報告された。

全粒穀物の恩恵は、その栄養素の総和を超えたものとして認識されている。例えば、オーツ麦や大麦に含まれる水溶性食物繊維であるβグルカンは、総コレステロールおよびLDLコレステロール濃度の穏やかな低下を示す臨床研究が多数存在する。この科学的知見に基づき、米国食品医薬品局(FDA)は、特定の全粒穀物製品について心血管疾患リスク低減に関する健康強調表示を認めている。さらに、385,868人の参加者によるメタ解析では、全粒穀物の高摂取が2型糖尿病リスクの有意な低減と関連し、毎日3サービングの摂取が糖尿病リスクの32%低下と関連していた。

国際的な視点では、食生活と健康の関連を分析した大規模研究が全粒穀物の重要性を裏付けている。2019年にランセット誌に掲載された195カ国、27年間のデータを用いた体系的解析では、全粒穀物の少ない食事が、死亡と障害調整生存年(DALY)に対する最も重要な危険因子の1つであることが明らかになった。また、21カ国、約14万人を10年近く追跡したPURE研究では、精製穀物の過剰摂取が早期死亡リスクを27%、心臓病リスクを33%、脳卒中リスクを47%上昇させることが示された。

スペインでは、消費者の健康志向に対応し、パン製品の品質表示に関する規制が強化されている。2019年7月に施行された規則では、「全粒粉パン(pan integral)」と表示するには100%全粒粉の使用が要件とされた。この措置は、消費者が明確な情報に基づいて選択できるようにすることを目的とし、健康に資すると見なされるパン製品に対して付加価値税率(IVA)の軽減措置(10%から4%へ)が導入された。さらに、スペイン農業水産食糧省(MAPA)は2022年4月1日より、一般パンの食塩最大含有量をパン100gあたり1.31g以下と定める規則を施行し、国民の健康増進に多角的に配慮している。

一方で、日本では2020年版の食事摂取基準において全粒穀物に関する具体的な言及がない状況も存在する。全粒穀物は食物繊維が豊富であり、例えば全粒粉には100g中11.2gの食物繊維が含まれることが報告されており、満腹感の持続や整腸作用が期待される。専門家は、玄米や全粒粉パンといった入手しやすい形態から、意識的に精白穀物を置き換える持続可能な栄養改善を推進する必要性を指摘しており、この栄養学的アップグレードは慢性疾患の予防と公衆衛生の向上に不可欠な戦略的要素と見なされている。

ソース元

  • El Confidencial

  • Sociedad Noticias

  • European Food Information Council (EUFIC)

  • Diario de Gastronomía

  • Academia Española de Nutrición y Dietética

  • Onda Cero Radio

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