スイス
スイス国民投票、義務的市民奉仕と高率相続税案を歴史的否決
編集者: gaya ❤️ one
2025年11月30日に実施されたスイスの国民投票において、有権者は二つの主要な連邦イニシアチブを圧倒的な差で否決した。否決されたのは、男女双方を対象とする義務的な市民奉仕の導入を求める案と、5000万スイスフランを超える遺産・贈与に対し50%の連邦税を課し、その税収を気候保護に充てるという提案である。この結果は、スイスの直接民主制における構造的変革への強い抵抗を示すものとなった。投票率は43パーセントに留まったが、市民奉仕イニシアチブに対する反対票は84.15パーセントに達し、過去25年間で二番目に強く否決された国民発議となった。
「我々のスイスのために(市民奉仕イニシアチブ)」と銘打たれた市民奉仕案は、現行の男性のみを対象とする兵役義務を、軍務、民事防衛、あるいは教育や社会サービスといった民間の奉仕活動にまで拡大し、女性にも適用することを求めた。提案者らは、現行制度が女性を軍務経験や人脈形成から排除している点が差別的であると主張し、社会統合の強化を訴えた。しかし、スイス政府は労働市場における人材不足と高額な財政負担を理由に反対姿勢を示した。また、スイス労働組合連合(USS)は、既に女性が多くの無給労働を担っている現状でさらなる義務を課すことは不均衡を悪化させると指摘した。
一方、若手社会主義者(Juso)が提起した「未来のための社会気候政策―公正な税制による財源確保(相続税イニシアチブ)」は、5000万スイスフランを超える相続・贈与額に対し50%の連邦税を課すことを目指した。この税収は気候変動対策に充てられる予定であり、提案側は年間60億スイスフランの税収を見込んでいた。このイニシアチブは、温室効果ガス排出の多くを超富裕層が担っているため、彼らが気候保護に貢献すべきだという理念に基づいていた。しかし、反対派は特に事業承継の際に納税資金不足から事業売却を余儀なくされる懸念や、富裕層の国外流出を招く可能性を警告した。結果として、この相続税案も78.3パーセントという高い割合で否決され、過去25年間で六番目に明確に退けられた提案となった。
政治的な余波として、ブルジョワ政党群は相続税の問題はこれで決着したとの見解を示した。対照的に、緑の党を含む賛成派は、議会において「より穏健な相続税」の導入を求める動議を提出する意向を表明しており、議論の舞台を連邦議会へと移す構えを見せている。また、市民奉仕イニシアチブの否決を受け、ブルジョワ同盟「セキュリテ・スイス(Sicherheit Schweiz)」は、軍の強化に向けた具体的な措置を政府に要求した。
スイスの現行の税制では、相続税は州や自治体にのみ課税権があり、多くの州で直系卑属に対する課税が免除されているのが現状である。今回の連邦レベルでの高率課税案の否決は、州レベルの財政主権を尊重するスイスの連邦制の原則と、富裕層への課税強化を求める社会的な圧力との間の緊張関係を改めて浮き彫りにした。専門家は、圧倒的な否決は現行の税制の安定を支持する明確なシグナルであると分析している。スイスの直接民主制においては、イニシアチブが提起されても、具体的な内容や連邦制への影響が議論される過程で支持が後退する傾向がしばしば見られる。
ソース元
Livesystems
SWI swissinfo.ch
VOL.AT
SRF
Eidgenössisches Finanzdepartement EFD
Liechtensteiner Vaterland
このトピックに関するさらに多くのニュースを読む:
エラーや不正確な情報を見つけましたか?
できるだけ早くコメントを考慮します。
