米国、東欧諸国への安全保障支援を縮小、欧州防衛の見直しを促す

編集者: Tatyana Hurynovich

米国政府は、ロシアと国境を接するエストニア、ラトビア、リトアニアといった東欧諸国に対する特定の安全保障支援プログラムを縮小する方針を固めました。これは、トランプ大統領による外国援助の見直し指示と、欧州諸国自身の防衛責任の強化を促す動きと連動しています。

影響を受けるプログラムは、軍事訓練や装備品供与を対象とする第333条に基づくものですが、既に承認された資金は2026年9月まで利用可能である一方、トランプ政権はこれらのイニシアチブに対する追加予算を求めていません。この決定は、欧州の同盟国に驚きと懸念をもって受け止められており、一部の支援がNATOを通じて配分されていたことから、同盟全体への影響も懸念されています。特に、2024年に2億2800万ドルの予算が計上されたバルト安全保障イニシアチブ(BSI)は現在見直し対象となっており、次年度の予算要求は行われていません。BSIは2020年に創設され、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の防衛能力と相互運用性の向上を目的としており、2023年には2億2500万ドル、2022年には1億6900万ドルの支援が行われていました。この支援は、特に防空、海上状況認識、陸上部隊の能力強化に焦点を当てています。

今回の米国の方針転換は、国防総省が防衛資源をインド太平洋地域へ再配分し、中国との緊張関係の中で米国の備蓄を優先するという、より広範な取り組みの一環です。これに対し、欧州連合(EU)は、ウクライナへの軍事支援停止の影響に対処し、新たな安全保障需要に適応するための緊急協議を進めています。この協議では、防衛予算の増額や、それに伴う債務規則の緩和が焦点となっています。

さらに、欧州連合は「レディネス2030(Readiness 2030)」構想を発表しました。これは、地政学的な脅威に対応するため、欧州の防衛インフラを強化する目的で、2030年までに最大8000億ユーロを動員することを目指すものです。2025年3月18日に欧州委員会が発表したこの計画は、欧州の防衛産業基盤の構築の重要性を強調し、欧州の戦略的自律性を高めることを目指しています。この構想は、財政的柔軟性の確保、防衛ローン(SAFEイニシアチブとして1500億ユーロ)、予算の再配分、欧州投資銀行(EIB)の役割拡大、民間資本の動員といった複数の柱で構成されています。

これらの動向は、米国の外交政策における大きな転換点を示しており、防衛問題における欧州の自立性と主体性への関心の高まりを浮き彫りにしています。欧州各国は、自らの防衛能力を強化し、変化する国際情勢に対応するための新たな戦略を模索しています。

ソース元

  • vijesti.ba

  • Financial Times

  • Reuters

  • Associated Press

  • Readiness 2030 - Wikipedia

  • Executive Order 14169 - Wikipedia

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