ローマン宇宙望遠鏡、主要構造の統合を完了 2027年打ち上げに向け最終試験へ

NASAのナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡は、2025年11月25日に、望遠鏡の内部および外部の観測部セグメントの物理的な結合という重要な建設段階を完了しました。この決定的な組み立て作業は、メリーランド州グリーンベルトにあるNASAのゴダード宇宙飛行センター内の最大級のクリーンルームで実施されました。この統合は、打ち上げ時および宇宙環境の過酷さに耐えうることを確認するための厳格な環境試験の成功に続くものであり、プロジェクトを個別のコンポーネント検証から最終的なシステムレベルの検証フェーズへと移行させました。

この成果は、過去の遅延を乗り越えた回復力を示しています。ローマン宇宙望遠鏡は、NASA初の主任天文学者であるナンシー・グレース・ローマン博士にちなんで命名されました。この観測施設は、SpaceX社のファルコンヘビーロケットによってNASAのケネディ宇宙センターから打ち上げられる予定です。運用期間は当初5年間が設定されていますが、10年間の寿命を目指す目標も掲げられています。ローマン宇宙望遠鏡は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と同じく、地球から約100万マイル離れた太陽-地球系のL2ラグランジュ点のハロー軌道で運用される設計です。

搭載される主要機器の一つである広視野観測装置（WFI）は、300.8メガピクセルを誇るカメラであり、ハッブル宇宙望遠鏡と同等の解像度を維持しつつ、0.28平方度の空の領域を捉える能力を持ちます。このWFIは18個の検出器群を使用し、重力マイクロレンズ法によるダークマター、ダークエネルギー、および系外惑星の3つの主要なサーベイを実施します。NASAの宇宙開発担当副長官アミット・クシャトリヤ氏は、変革的な科学的成果が最終的かつ精密な試験段階にかかっていると述べました。ローマン計画の主任プロジェクト科学者ジュリー・マクエナリー博士は、このミッションが10万個以上の遠方の世界、数億個の恒星、数十億個の銀河を明らかにする態勢にあるとの見解を示しました。

WFIを補完するのは、NASAのジェット推進研究所（JPL）のフォン・ジャオ氏が管理するコロナグラフ装置（CGI）です。CGIは、系外惑星の直接撮像を目指し、高コントラスト撮像のために設計された遮光技術を要します。日本の宇宙航空研究開発機構（JAXA）も、光学素子の提供などで国際協力の一環として参画しています。ローマン計画のプログラム科学者ドミニク・ベンフォード氏は、全ての取得データは独占使用期間なしで一般に公開され、世界的な科学的リターンを最大化すると述べています。

この望遠鏡は、NASAに寄贈された既存の2.4メートルミラーを利用しており、ハッブルと同等の感度と解像度を提供しつつ、赤外線での視野は最大200倍広くなっています。この統合完了は、2026年に完全に組み立てられた観測施設をケネディ宇宙センターに移管し、目標とする2027年の打ち上げ準備を最終化するという次の段階への移行を示しています。