欧州研究会議、IPhTの研究者ダリミル・マザック氏に量子場理論の数学に関する2025年コンソリデーター・グラントを授与

編集者: Irena I

欧州研究会議(ERC)は、2025年12月9日にコンソリデーター・グラントの受領者を正式に発表した。この助成金制度は、科学の全分野において、キャリア中期にある研究者の最も意欲的な探求的研究を支援することを目的としている。今回の公募には3,121件の申請があり、そのうち349件が採択され、総額7億2800万ユーロが配分された。採択された研究者は25のEU加盟国および関連国で研究を推進する予定である。

フランスのCEA-CNRS傘下の理論物理学研究所(IPhT)の研究員であるダリミル・マザック氏が、この栄誉ある選出者の一人に選ばれた。マザック氏は2023年8月1日にIPhTの常勤研究員として着任し、博士号はペリメーター研究所で取得している。彼は2025年より高等科学研究所(IHES)の客員研究員も務めており、特に量子場理論(QFT)の数学における先駆的な業績が評価された。彼の研究領域は、数学物理学、具体的にはQFT、調和解析、数論の接点に焦点を当てている。

QFTは素粒子物理学から宇宙論に至るまで、あらゆるスケールで物理学を記述する普遍的な予測フレームワークであるが、その数学的基盤は完全には解明されていない。マザック氏のこれまでの研究は、L関数を用いた素数の解析や、同一の非重複球体の最も密な配置を決定する球充填問題といった数学分野とQFTとの間に、予期せぬ関連性を見出してきたことで知られている。特に、彼の解析的汎関数を用いたアプローチは、次元8および24における最適な球充填問題のヴィアゾフスカによる解と等価であることが後に判明している。

こうした背景から、彼のERCプロジェクト「HARMONICON(調和解析と共形場理論の連結)」は、QFTの基礎をさらに深く理解することを目指している。HARMONICONプロジェクトの具体的な目標は、QFTの重要な一派である共形場理論(CFT)の厳密な数学的枠組みを構築することにある。CFTは、長さのスケール変化に対して不変な量子場理論であり、物理的な観測量はスケーリング指数によって特徴づけられる。マザック氏の計画では、特に三次元ポリマーのような複雑なモデルにおいて、これまで決定が不可能であったこれらのスケーリング指数を厳密に決定することを目指す。

CFTは、その精緻な対称性代数のおかげで、厳密に解ける相互作用する量子場理論という極めて稀なクラスに属し、凝縮系物理学や統計力学に応用されている。2025年のERCコンソリデーター・グラントの競争率は非常に高く、前回の公募から申請数が35パーセント増加し、採択率は11パーセント強に留まった。ETH Zurichでは4件、オックスフォード大学では11件、ケンブリッジ大学では8件のプロジェクトが採択されるなど、各機関で優秀な成果が報告されている。マザック氏の研究は、数学物理学の分野における欧州の最先端研究を代表するものであり、基礎科学の進展に大きく貢献することが期待される。

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ソース元

  • CEA/CEA

  • NCP Flanders

  • CEA

  • IPhT

  • UKRO

  • IHES

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