Hyperliquid、USDHステーブルコイン発行権を巡る激戦：Paxos、Frax、Agora、Ethenaなどが提案提出

分散型取引所（DEX）のHyperliquidは、独自のステーブルコイン「USDH」の発行権を巡り、複数の主要暗号資産企業からの提案を受け付けています。この競争には、Paxos、Frax Finance、Agora、Ethenaなどが参加しており、プラットフォームの金融エコシステム強化と既存ステーブルコインへの依存低減を目指しています。

最終的な発行者は、2025年9月14日に予定されているHyperliquidのオンチェーンガバナンス投票によって決定されます。各社は、USDHの裏付けメカニズム、コンプライアンス戦略、収益分配モデルにおいて独自の強みをアピールしています。

Paxosは、EUのMiCAや米国のGENIUS法に準拠したグローバル発行を提案し、PayPalとの提携を通じてVenmoやXoomといった決済プラットフォームとの統合、および2000万ドルのインセンティブプールを提供すると述べています。同社は、USDHの発行において法的にグローバル展開が可能な唯一の事業者であると主張しています。

Frax Financeは、コミュニティ中心のアプローチを強調し、そのステーブルコインであるfrxUSDを通じて、BlackRockのBUIDLファンドを裏付けとする提案を行っています。Fraxは、Hyperliquidユーザーに対し、手数料ゼロで年間2億2000万ドルの利回り収益を生み出す可能性を提示しています。

Agoraは、中立性と競合インフラの不在を強調し、収益の100%をHyperliquidのアシスタミントファンドまたはHYPEトークン買い戻しに充てることを約束しています。同社は、Rainのグローバルカードおよびオン/オフランプカバレッジ、LayerZeroの相互運用性との連携も提案に含めています。AgoraのAUSDステーブルコインは、約1億3000万ドルの時価総額を持ち、現金および短期米国債によって1対1で裏付けられています。

一方、Ethenaは、BlackRockのBUIDLトークン化マネーマーケットファンドに裏付けられたUSDtbをUSDHの裏付け資産として提案しています。Ethenaは、USDH準備金の純収益の95%をHyperliquidコミュニティに還元し、7500万ドルから1億5000万ドルのエコシステムインセンティブを提供する計画です。BlackRockのデジタル資産責任者であるロバート・ミッチニック氏は、トークン化されたファンドが「機関グレードのキャッシュマネジメントを提供するユニークなポジションにある」と述べています。

このUSDH発行権を巡る競争は、HyperliquidのHYPEトークン価格にも影響を与え、発表後12%上昇するなど、市場の関心の高さを反映しています。Hyperliquidのバリデーターは、9月14日午前10時から11時（UTC）にかけて行われる投票で、プラットフォームの将来の方向性を左右する重要な決定を下すことになります。この投票は、Hyperliquidにとって、資産の上場廃止以外の初めての大規模なガバナンスプロセスとなります。