NASA、デスバレーで次世代ドローン自律飛行技術の地上試験を実施

NASAのジェット推進研究所（JPL）の技術者チームは、カリフォルニア州のデスバレー国立公園およびモハーベ砂漠といった火星の類似環境において、次世代のドローン飛行ソフトウェアの地上試験を完了した。この集中的な試験は、昨春の4月下旬と初秋の9月上旬に実施され、極限環境下での自律航行能力の洗練を目的としている。この取り組みは、火星のインジェニュイティ・ヘリコプターが最終飛行で直面した、視覚的特徴の推定が困難な不毛な地形でのナビゲーションの限界を克服するための戦略的な一歩である。

デスバレーでの試験期間中、地表温度が摂氏45度に達する過酷な条件下で、JPLチームは研究用ドローンを、火星の丘やメスキート・フラッツ砂丘を想起させる地形の上空で飛行させた。この一連の試験は、将来の火星探査機が、視覚情報が乏しい挑戦的な地形を自律的に移動できるようにするための技術的転換を示している。JPLの研究者であるローランド・ブロッカース氏は、将来の探査機はインジェニュイティよりも汎用性を高め、砂丘のような困難な地域を自律的に飛行できるようになることを目標としていると述べた。また、JPLの地質学者ネイサン・ウィリアムズ氏は、現場でのテストがコンピューターモデルや限られた衛星画像のみに頼るよりも、より包括的な視点を提供すると強調した。

この先進的な自律飛行技術は「Extended Robust Aerial Autonomy（ERAA）」と名付けられ、NASAの火星探査プログラム（MEP）によって資金提供されている25のプロジェクトの一つであり、将来の火星ミッションにおけるロボットの自立性向上を目指している。特筆すべき点として、JPLチームはデスバレー国立公園内で研究用ドローンを飛行させる許可を、公園史上3番目に取得した。この許可は、国立公園局（NPS）が公園の資源保護のため、通常は極めて例外的な状況にのみ発行するものである。デスバレーは、1970年代のバイキング宇宙船の着陸準備以来、NASAにとって数十年にわたる火星ミッションの重要なアナログ試験場としての役割を果たしてきた。

インジェニュイティ・ヘリコプターの最終飛行は2024年1月に行われ、ナビゲーションシステムが平坦な地形での追跡に最適化されていたため、急な砂のさざ波が特徴的な場所で機能不全に陥り、ローターブレードの損傷につながったことが判明している。ERAAソフトウェアは、こうした不確実な火星の景観に対応するための直接的な解決策を提供する。この技術開発は、2025年以降に予定されているNASAの火星探査計画、特に自律的な偵察と科学的調査能力の向上に不可欠である。NASAは、この技術を応用し、将来の火星ミッションにおけるロボットの能力を拡張することを目指している。