カナリア諸島、サハラ砂塵と熱波で厳戒態勢:過去の事例とオーバーツーリズム問題も浮上
編集者: Tetiana Martynovska 17
スペイン領カナリア諸島は現在、サハラ砂漠からの砂塵が空を覆い、記録的な高温に見舞われる「カリマ」と呼ばれる現象に直面しています。スペイン気象庁(AEMET)は全島に黄色警報を発令し、視界不良と健康への影響に注意を促しています。特に南向きの地域や沿岸部では、視界が3,000メートルまで低下する見込みです。場所によっては、大気中の砂塵粒子濃度が1立方メートルあたり200マイクログラムを超える可能性があり、呼吸器系の健康にリスクをもたらすことが懸念されています。
このような状況は過去にも発生しており、2020年2月には大規模な砂嵐により航空交通が麻痺し、多数のフライトが欠航する事態となりました。衛星画像には、サハラ砂漠からカナリア諸島へと広がる巨大な砂塵の雲が捉えられていました。気温も急上昇しており、グラン・カナリア島では最高気温が36℃に達し、場所によっては37℃に達する可能性も指摘されています。他の島々でも、特に南部や南西部の地域では34℃まで気温が上がる可能性があります。カナリア諸島政府は、このカリマ現象を受けて事前アラートを発令し、住民や観光客に対し、屋外活動の制限と窓を閉めるよう呼びかけています。
この異常気象は、観光業にも影響を与える可能性があります。近年、カナリア諸島は「オーバーツーリズム」の問題にも直面しており、2024年4月には数千人が集まり、観光客の制限や持続可能な観光モデルの導入を求めるデモが行われました。住民たちは、過剰な観光が島の資源を圧迫し、生活環境を悪化させていると訴えています。このような状況下で、自然現象による観光客の減少は、経済的な影響をさらに複雑にする可能性があります。例えば、2023年夏には地中海地域全体で熱波と山火事が観光に大きな影響を与え、一部の地域ではフライトキャンセルや予約の低迷が発生しました。カナリア諸島も例外ではなく、気候変動による年々厳しさを増す夏の暑さが、旅行者の選択に影響を与える可能性が指摘されています。
カナリア諸島は、その美しい自然と温暖な気候から多くの観光客を惹きつけていますが、今回のサハラ砂塵と熱波は、自然の力強さと、それに対する人間の適応の重要性を改めて浮き彫りにしています。住民や関係者は、この厳しい状況を乗り越え、よりレジリエントな地域社会を築くための知恵を結集することが求められています。
ソース元
Manchester Evening News
AEMET warns about new calima episode in the Canary Islands
State Meteorological Agency (AEMET)
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