カスマ渓谷でチャンキージョ太陽観測所より古い先史的構造物を発見、古代アンデス天文学の起源を再考

ペルーのアンカシュ州、カスマ川流域において、考古学チームが注目すべき先史時代の巨大構造物を発掘した。この発見は、アメリカ大陸における組織的な天文学的科学の起源に関する既存の理解を根本的に見直す契機となる。既にユネスコ世界文化遺産に登録されているチャンキージョ天体考古学複合体は、紀元前250年頃に遡る13本の塔で知られていたが、今回の発見により、その歴史的層がさらに深まったことが示唆される。

ペルー文化省は2025年11月末にこの成果を公式に発表し、新たに発見された建造物が明確な太陽方位を示しており、天体の動きを追跡するために意図的に建設されたことを確認した。調査を率いる実行ユニット010のディレクターであるイバン・ゲッツィ・ソリス考古学者は、層序学および石、泥、日干しレンガといった建築材料の初期分析に基づき、この構造物が太陽観測所よりも相当古いと指摘している。正確な年代特定のため、正式な放射性炭素年代測定が現在進行中である。この地域は、モチェ文化の太陽と月のピラミッド遺跡など、他の重要な先コロンブス期の遺跡も擁しており、カスマ渓谷の古代における重要性を裏付けている。

さらなる発掘作業により、月の周期に特化した回廊という、もう一つの複雑な特徴が明らかになった。この回廊は西側の要塞化された寺院に面しており、古代社会が太陽の年周期的な軌道だけでなく、より複雑な月のリズムも綿密に監視していたことを示唆している。この太陽と月の両方を追跡する二重のシステムは、この遺跡における天文学的知識が、これまで想定されていたよりも多様かつ高度であったことを示唆する。このような精密な天文学的技術は、紀元前250年から紀元前200年頃の短期間に利用されたチャンキージョの13の塔の暦装置にも見られる正確さであり、古代アンデス文明の科学的洗練度を物語る。

この天体追跡の発見は、社会権力との結びつきも示唆している。科学者たちは、観測所の近くでパタスカ様式の大型儀式用土器を発見した。この土器は高さがほぼ1メートルに達し、戦闘ポーズをとる戦士の粘土像が装飾されていた。この遺物が制限区域内にあったという事実は、軍事力を掌握していたエリート層が、専門的な天文学的知識をも支配下に置いていたことを示唆し、当時の社会構造を強固にしていたと考えられる。また、ペルー北西部では、紀元前3000年から2000年頃に栄えたカラル文化の遺跡からも、約5000年前の支配層の可能性のある女性の遺体が発見されており、古代アンデスにおける権力構造の複雑さが示されている。

文化省は、これらの知見によってカスマ渓谷が「世界で最も重要な先祖代々の天文学的中心地の一つ」としての地位を確固たるものにすると主張している。既存の13の塔の保全作業は継続されており、将来的には一般公開を拡大する計画が進行中である。この地域は、紀元前3世紀頃に築かれたチャンキージョ遺跡群のように、太陽の昇降を正確に観測し、年間の日付を定義する暦の道具として機能した点で、世界遺産としての価値が認められている。