ベネズエラ、カリブ海での軍拡を「政権転覆の試み」と非難 米国との緊張高まる

編集者: Svetlana Velgush

ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は9月1日、カリブ海地域に展開する米軍のプレゼンスについて、自国に対する政権転覆の試みであると強く非難しました。マドゥロ大統領は、この米軍の展開を「大陸における過去100年間で最大の脅威」と表現し、いかなる外国からの侵略にも対抗する姿勢を表明しました。これを受け、ベネズエラは国境への部隊展開や国民への民兵参加の呼びかけなど、警戒態勢を強化しています。

米国政府は、今回のカリブ海における海軍展開の目的を、ラテンアメリカの麻薬カルテル対策および薬物密売の阻止にあると説明しています。トランプ政権は、麻薬カルテルの活動が米国の安全保障と国民生活に深刻な脅威を与えていると指摘しており、この地域での軍事プレゼンス強化はその一環としています。具体的には、USS GravelyやUSS Jason Dunhamといった駆逐艦を含む複数の艦船が展開され、約4,500名の兵員が任務にあたっています。これには、USS Lake Erieのような巡洋艦や強襲揚陸艦なども含まれ、合計で8隻の艦船が関与していると報じられています。

しかし、専門家からは、この米国の戦略の効果について疑問の声も上がっています。国連薬物・犯罪事務所(UNODC)の報告によれば、コカインの大部分は太平洋ルートを通じて密輸されており、カリブ海(大西洋側)に集中する今回の展開が、薬物密売阻止にどれほど効果的かについては議論があります。ベネズエラは麻薬の主要な出発点の一つとされていますが、その密輸ルートの大部分は太平洋側を経由しているとの分析もあります。

ベネズエラ側は、米国の行動を自国への干渉とみなし、もし攻撃を受けた場合には「武装闘争」に突入し、「武装共和国」を宣言する可能性も示唆しています。事態の背景には、米国財務省が7月25日に「ロス・ソレス・カルテル」を国際テロ組織に指定し、ベネズエラ政府が「トレン・デ・アラグア」や「シナロア・カルテル」といった組織を支援していると非難したことがあります。これに関連し、米国はマドゥロ大統領の逮捕につながる情報提供に対し、懸賞金を5,000万ドルに増額しています。

このような状況下で、ベネズエラは国境警備を強化し、国民には民兵への参加を呼びかけています。一方、メキシコやコロンビアといった近隣諸国は、地域情勢の不安定化を懸念する声明を発表しています。トリニダード・トバゴ政府は米軍の展開を支持する一方、中国は米国の軍拡を非難するなど、国際社会の反応も様々です。この緊張関係は、両国間の関係だけでなく、地域全体の安全保障にも影響を与える可能性を秘めており、今後の展開が注視されています。

ソース元

  • El Nacional

  • Venezuela's Maduro says US seeking regime change with naval build-up

  • Maduro advierte a Estados Unidos: “Si Venezuela resulta agredida, nos declararemos en lucha armada”

  • Cártel de los Soles

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