グリーンランド氷床深部で熱対流を発見、氷床力学モデルに新たな示唆
編集者: Vera Mo
グリーンランド氷床の深部において、これまで原因不明であったプルーム状の構造が熱対流によって形成されていることが特定された。この発見は、通常、地球のマントルで関連付けられる熱対流が、氷の構造そのものの中で発生していることを示している。この主要な知見は、2026年初頭に学術誌『The Cryosphere』に掲載された研究成果に基づくものである。
この現象は、グリーンランド氷床の深部で、レーダー画像により氷の層を歪めるプルーム状の上昇流として捉えられていたが、その成因は10年以上にわたり未解明であった。この研究は、ベルゲン大学の氷河学者ロバート・ロー博士が主導し、同大学のアンドレアス・ボーン教授が共同研究者として参加した。調査には、NASAのゴダード宇宙飛行センターやオックスフォード大学などの機関も関与している。
ロー博士は、氷床内に熱対流を発見したことは直感に反すると述べ、これを「エキサイティングな自然のいたずら」と表現した。一方、ボーン教授はこの発見を「沸騰するパスタ鍋」に例え、「ワイルドで魅惑的」であると評している。この熱対流のエネルギー源は、地球の自然な地熱、すなわち放射性崩壊や地球形成時の残留熱に由来するとされる。
この発見は、地球の淡水の約10%を保持するグリーンランド氷床の内部物理を理解する上で極めて重要であり、将来の海面上昇予測に果たす役割の解明に鍵となる。研究チームは、マントルシミュレーションに用いられるASPECTモデリングパッケージを氷の物理学に応用し、地球物理学的手法を氷河学へ適用する進歩を示した。ロー博士らは、グリーンランド北部の深層氷が、従来想定されていたよりも約10倍軟らかい可能性があるというデータを示唆している。
ボーン教授は、この知見が氷床の力学モデルにおける不確実性を低減する上で重要であると指摘する。しかし、研究者らは、この知見のみに基づいて直ちに海面上昇を予測することには慎重であり、さらなる研究の必要性を強調している。この新たな熱対流の知見は、氷床の質量収支モデルに新たな物理的要因を組み込む必要性を示唆し、将来の海面上昇予測の精度向上に寄与する可能性がある。
グリーンランド氷床は島全体の約80%を覆い、その質量収支のバランスが崩れると体積が変化する。過去の関連事象として、グリーン・ドリル計画のデータによれば、グリーンランドのプルードー・ドーム氷冠が約7,000年前に完全に融解した記録があり、これは氷床の感受性を示唆している。ロー博士は、この結果が直ちに災害を予測するものではないとしつつも、この惑星の複雑さとダイナミズムを浮き彫りにするものであると結論付けている。
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ソース元
ScienceAlert
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