インド・アルナーチャル・プラデーシュ州で希少ラン Gastrochilus pechei が初発見

インド北東部のアルナーチャル・プラデーシュ州ヴィジョイナガル地域で、希少なラン科植物 Gastrochilus pechei がインド国内で初めて確認されました。これまでミャンマーでのみ開花が記録されていたこの種は、今回の発見によりインド亜大陸における分布が初めて明らかになりました。

この発見は、ヴィニヤ・クマール・サハニ氏、ミノム・ペルティン氏、クヤンジット・ゴゴイ氏率いる研究チームによって、標高1,200メートルの地点で行われました。研究成果は国際蘭学専門誌ランケステリアーナ（Lankesteriana）に掲載され、アルナーチャル・プラデーシュ州とミャンマーとの間の植物相のつながりを示しています。Gastrochilus pechei は鮮やかな色の花と特徴的な花構造を持ち、湿潤な常緑雨林の川岸近くに生育する傾向があります。

アルナーチャル・プラデーシュ州は「インドの蘭の州」とも呼ばれ、インド全土のラン科植物の約60%にあたる600種以上が生息すると言われています。今回の Gastrochilus pechei の発見は、この地域が未発見の植物の宝庫であることを改めて示しており、さらなるフィールド調査への期待が高まっています。

この発見は、地理的な境界を越えた植物種の共有を示す重要な証拠であり、北東インドとミャンマーの植物相の間の深い関連性を示唆しています。種の分布パターンを理解し、生物多様性の保全戦略を立てる上で極めて重要であり、希少種の生育環境保護と国際協力による研究・保全活動が求められています。