
ダボス会議2026におけるハビエル・ミレイ大統領の演説
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ダボス会議2026におけるハビエル・ミレイ大統領の演説
2026年1月21日、中央ヨーロッパ標準時(CET)16時30分から17時にかけて、世界経済フォーラムの年次総会においてアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領による特別演説「Special Address by Javier Milei, President of Argentina」が行われました。今回の演説は地政学的な経済と政治を主題とし、特に倫理、市場、そして経済的自由の重要性に焦点が当てられました。過去の演説と比較すると、その口調はより穏やかで理論的な枠組みに基づいたものであり、過激な社会批判を抑えつつ、規制のない資本主義を擁護する論理を展開しました。ミレイ氏は、トーマス・ソウェル、マレー・ロスバード、アダム・スミス、ハンス=ヘルマン・ホッペ、ヘスス・ウエルタ・デ・ソトといった著名な経済学者のほか、哲学者や聖書の記述を引用し、自身の思想的背景を強調しました。
国内政策と規制緩和についても言及し、AIなどの成長市場への介入に反対する姿勢を鮮明にしました。「政治家ができる最も責任ある行動は、世界をより良くしようとする人々の邪魔をやめることだ」と断言しました。アルゼンチン国内の実績として、2023年以降に実施された1万3500件の改革を挙げ、15%に達していたGDP赤字の解消、300%から30%へのインフレ率の劇的な低下、そして57%から27%への貧困率の減少という具体的な成果を提示しました。これは単なる削減ではなく、投資と起業のための環境整備であると説明しました。
ミレイ氏は、資本主義がユダヤ・キリスト教、ギリシャ、ローマの伝統的なルーツに合致しているとし、アルゼンチンでの人的資本開発について「魚を与えるのではなく、釣り方を教え始めた」と表現しました。また、アダム・スミスの『道徳感情論』やデイアドレ・マクロスキーの「ブルジョワの徳」を引用し、資本主義が道徳を破壊するという主張に反論しました。一方で、西側諸国が社会主義や「ポリコレ(wokeism)」という名の偽善的な社会主義の脅威にさらされていると警告しつつも、アメリカが「西側を照らす光の灯台」になるという楽観的な展望を示しました。演説の最後には、トーラー(出エジプト記)のファラオとの対峙を比喩に用い、自由のための闘いを強調した後、「自由万歳、ちくしょう!(Long live freedom, damn it)」という言葉で締めくくりました。
演説後のインタビューにおいて、ミレイ氏は中国を「素晴らしい貿易パートナー(great trading partner)」と評しました。2025年にアルゼンチンの対中輸出が増加したことを明かし、中国はブラジルに次ぐ第2の重要市場であると述べました。トランプ政権下のアメリカとの友好関係と、中国との密接な経済的結びつきは矛盾しないとし、「生存と成長のために、アルゼンチンは商品を買ってくれるすべての相手と開かれた貿易関係を築く必要がある」と現実的な路線を強調しました。イデオロギーによるボイコットは経済にとって許容できないという考えを示しました。
また、通貨政策については、アルゼンチンが現在ペソの完全な変動相場制に移行する準備が整っていないことを認めました。現在の管理された変動相場と外貨準備の蓄積が「最も安全な道」であり、国民が不必要なショックを受けないよう段階的に進める方針を再確認しました。最後に、地政学、関税、AI、エネルギー問題などの「グローバルな不確実性」に触れ、国家の介入を最小限に抑えることが、より良い世界を構築する鍵であると述べ、アメリカにおける自由主義の再興を間接的に称賛しました。