NASAのEscaPADE(Escape and Plasma Acceleration and Dynamics Explorers)ミッションの宇宙船2機が、2025年末の打ち上げに向けて最終準備のためフロリダ州タイタスビルに到着しました。このミッションは、火星の磁気圏と太陽風の相互作用、そしてそれが惑星の大気に与える影響を調査することを目的としています。
EscaPADEの宇宙船は、ロケットラボによって開発・製造され、2025年秋にブルーオリジンのNew Glennロケットで打ち上げられる予定です。当初は2024年1月に予定されていましたが、延期されました。その後、カリフォルニア州のロケットラボ本社に戻されていましたが、今回のフロリダへの輸送は、打ち上げに向けた最終段階となります。
火星の大気は、地球のような全球的な磁場を持たないため、太陽風と直接相互作用し、長年にわたり大気の多くが宇宙空間に失われてきたと考えられています。最近の研究では、火星の磁気圏が太陽風から大気を保護する上で、以前考えられていたよりも効果的であることが示唆されていますが、それでも太陽風の影響は火星の進化において重要な要素です。
当初の計画では、EscaPADEは火星への直接軌道で打ち上げられる予定でしたが、New Glennロケットの初飛行の遅延により、代替案が検討されました。その代替案では、宇宙船をまず太陽-地球ラグランジュ点L1に配置し、約1年間宇宙天気を観測した後、火星への飛行ウィンドウが開いた際に重力機動を行い、2027年の冬に火星に到着する予定でした。しかし、最新の計画では、2025年末の打ち上げが目指されています。
現在、フロリダ州タイタスビルのAstrotechミッションコントロールセンターで、ロケットラボの技術者たちが宇宙船の検査と機能テストを実施しています。その後、打ち上げロケットへの搭載と統合が行われます。EscaPADEの打ち上げには、New Glennロケットが使用されます。これは同ロケットにとって初のミッションとなります。
なお、NOAAのSWFO-L1(Space Weather Follow On-Lagrange 1)宇宙船は、2025年9月24日にスペースXのFalcon 9ロケットで打ち上げられ、太陽風や宇宙天気現象を監視する任務に就いています。これは、EscaPADEミッションとは別の宇宙天気観測衛星です。