アルテミスIIミッションは、2026年4月まで打ち上げが延期されました。このミッションは、オリオン宇宙船とスペース・ローンチ・システム(SLS)ロケットを用いた初の有人飛行となり、4人の宇宙飛行士が月を約10日間周回する旅に出ます。この計画は、将来の月面探査への道を開くことを目的としています。
アルテミスIIは月面着陸を伴いませんが、オリオン宇宙船の深宇宙での能力を検証します。宇宙飛行士は約10,300キロメートル月を超える軌道まで飛行し、ミッションは太平洋上へのオリオン宇宙船の着水をもって終了します。現在、オリオン宇宙船とSLSロケットは、フロリダ州のケネディ宇宙センターで最終的な組み立てと試験が進められています。
アルテミスIIの宇宙飛行士には、NASAのリード・ワイズマン、ビクター・グローバー、クリスティーナ・コーク、そしてカナダ宇宙庁のジェレミー・ハンセンが選ばれています。彼らは人類史上初めて月周回軌道を超えて飛行する宇宙飛行士となります。特に、ビクター・グローバーは月探査ミッションに参加する初の有色人種であり、クリスティーナ・コークは地球低軌道を超えて飛行する初の女性となります。
アルテミスIIの成功は、アポロ計画以来となる有人月探査の再開だけでなく、将来の火星探査に向けた重要な技術的基盤を築くことにも繋がります。SLSロケットは、アポロ計画で使用されたサターンVロケットよりも強力で、オリオン宇宙船と4人の宇宙飛行士、そして大量の貨物を一度に月へ送り届ける能力を持っています。オリオン宇宙船は、深宇宙の過酷な環境に耐えうるように設計されており、先進的な生命維持システム、放射線防護、そして世界最大のヒートシールドを備えています。
アルテミス計画全体は、月面での持続的な人間の存在を確立し、火星への将来的なミッションに備えることを目指しています。アルテミスIIは、この長期的なビジョンにおける重要なステップであり、宇宙探査の新たな時代を切り開くものです。このミッションで得られる知見は、人類が宇宙空間をさらに深く探求し、新たな発見を続けるための礎となるでしょう。