東北大学、論文の図表を「読み解く」AIシステム「DIVE」を開発—次世代水素貯蔵材料の探索を劇的に加速

編集者: an_lymons

東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の研究チームは、人工知能(AI)を活用した革新的なワークフロー「DIVE(Descriptive Interpretation of Visual Expression)」を発表しました。このシステムは、膨大な科学論文の解析を自動化することで、次世代のエネルギー材料探索を効率化することを目的としています。

現在、実験データと新材料の発見を確実かつ自律的に結びつける技術は、まだ発展の初期段階にあります。DIVEはこの課題に対する解決策として設計され、従来の分析手法では困難だった情報の抽出と構造化を効率的に行うことが可能です。

DIVEの最大の特徴は、学術論文に掲載されているグラフや図表から、正確な実験データを直接読み取る能力にあります。この機能により、視覚的な研究成果を、解析可能な構造化データへと瞬時に変換することができます。

発表時点で、このシステムはすでに4,000件以上の学術論文を処理し、3,0000件を超える個別のデータ記録を蓄積しています。この膨大な情報量により、手作業では不可能だった大規模な比較分析や、未知の法則性の発見が可能となりました。

固体水素貯蔵材料を用いたテストにおいて、DIVEは既存のソリューションを凌駕する性能を示しました。データ抽出の精度は、市販のAIモデルより10〜15%高く、オープンソースのシステムと比較すると30%以上の向上を記録しています。

システムには対話型インターフェースが搭載されており、研究者が特定のパラメータを入力するだけで、数分以内に最適な材料の候補が提示されます。これにより、必要な特性を先に定義して材料を探し出す「逆設計(インバースデザイン)」の手法が実現しました。

この技術は、固体水素貯蔵に関する世界最大級のデータベース「Digital Hydrogen Platform(DigHyd)」に統合されています。DigHydは、新しい水素材料の戦略的設計を可能にする世界初の専門的なデジタル環境として機能しています。

WPI-AIMRの李(ハオ・リー)教授は、材料特性の深い理解こそが、安全で安価、かつ大規模な普及が可能なクリーン水素エネルギー開発の鍵であると述べています。

李教授はさらに、DIVEが科学的発見から技術の実装までの期間を大幅に短縮できる可能性を強調しました。DIVEとDigHydの連携により、日々更新される最新の研究成果を取り込む持続的なデータパイプラインが構築されています。

この革新的なAIシステムは、水素エネルギー社会の実現に向けた研究サイクルを加速させ、持続可能な未来への道を切り拓く重要な一歩となることが期待されています。

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ソース元

  • Mirage News

  • Research News - “DIVE” into Hydrogen Storage Materials Discovery with AI Agents

  • “DIVE” into hydrogen storage materials discovery with AI agents | Chemical Science (RSC Publishing)

  • 科学論文の図表を読み解き、有効に利活用するAIワークフローDIVEを開発

  • Research News - “DIVE” into Hydrogen Storage Materials Discovery with AI Agents

  • Hao LI | Distinguished Professor | Doctor of Philosophy | Tohoku University, Sendai | Tohokudai | Advanced Institute for Materials Research (WPI-AIMR) | Research profile - ResearchGate

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