キアは、スロバキアのジリナ工場で電気自動車(EV)EV4の量産を開始しました。この生産は8月20日に開始され、キアが欧州域内で初めて完全電気自動車を製造するモデルとなります。
EV4は、現代自動車グループが開発した先進的なE-GMPプラットフォームを基盤としており、58.3kWhの標準バッテリーと、航続距離最大630kmを目指す81.4kWhの大容量バッテリーの2種類が用意されています。このプラットフォームは、車両の性能と効率性を高めるように設計されています。
2004年から稼働しているキアのジリナ工場は、同社の欧州事業の中核を担っており、年間35万台の車両と54万基のエンジンを生産する能力を持っています。現在、同工場ではEV4に加え、キア・クセードやスポーテージといったモデルも生産しており、2024年にはこれらのハイブリッドおよびプラグインハイブリッド車の割合が全体の25%を占めました。
EV4の欧州での現地生産は、車両のライフサイクル全体、特にバッテリーの調達や製造場所を考慮するフランスやイギリスの支援プログラムとも合致しており、持続可能な自動車製造への関心の高まりを反映しています。キアはEV4の世界年間販売目標を16万台としており、そのうち半数を欧州市場で販売することを目指しています。
E-GMPプラットフォームは、車載バッテリーを外部電源として利用できるV2L(ビークル・トゥ・ロード)や、電力網と連携するV2G(ビークル・トゥ・グリッド)といった先進的な機能を可能にし、EV4の実用性とエネルギーシステムへの統合をさらに強化します。また、プラットフォーム設計は低重心化によるハンドリング性能の向上を追求し、アルミニウム製ボンネットなどの軽量素材を採用して性能を最適化しています。
キアの持続可能性への取り組みは、ジリナ工場の効率化にも表れており、2014年以降、エネルギーと水の消費量を削減し、CO2排出量を低減させてきました。工場は再生可能エネルギーで稼働しており、太陽光発電の導入も計画されています。今回のEV4の生産開始は、キアにとってより持続可能で電動化された未来に向けた重要な一歩となります。