ウガンダのブウィンディ原生国立公園では、マウンテンゴリラの個体数が目覚ましい増加を遂げており、その背景には熱心な保護活動と責任ある観光の推進があります。2018年のセンサス調査では、公園内およびヴィルンガ山塊全体でマウンテンゴリラの個体数が1,000頭を超えていることが確認されており、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは「絶滅危惧種」から「危急種」へと格下げされました。これは、かつて「近絶滅種」とされていた状況からの大きな改善であり、集中的な保護活動と地域コミュニティの関与が実を結んだ証と言えます。
観光は、この保護活動の成功における重要な推進力となっています。ゴリラ・トレッキングの許可証料金は、地域社会の開発に直接貢献しており、かつて密猟に携わっていた人々が、今では保護活動の擁護者へと転身し、野生生物保護のための協力関係を築いています。例えば、2020年に亡くなったシルバーバック「ラフィキ」の悲劇は、地域社会に深い影響を与え、多くの元密猟者が保護への決意を固めるきっかけとなりました。この経済的な恩恵は、地域住民がゴリラの保護から直接的な利益を得られるようにすることで、密猟や森林破壊への依存を断ち切る一助となっています。
ウガンダ野生生物庁(UWA)は、ゴリラの生息地の保護、密猟防止パトロール、そして地域社会との連携を通じて、マウンテンゴリラの持続的な生存を確保するために不可欠な役割を果たしています。同庁は、国立公園や野生生物保護区の管理、絶滅危惧種の保護、エコツーリズムの促進、そして野生生物法の執行などを担当しています。特に、ゴリラ・トレッキングの許可証発行や規制の管理は、観光収入と野生生物の福祉とのバランスを取る上で重要です。例えば、1回のトレッキングにつき8名、距離7メートルを維持するなどの規則が設けられています。
2025年5月に開始された最新のセンサス調査は、最新の個体数データと生態系に関する詳細な情報を提供する予定です。この保護の取り組みは、マウンテンゴリラの個体数を回復させるだけでなく、地域経済にも大きく貢献しています。しかし、依然として生息地の確保、気候変動、人間由来の病気のリスクなど、ゴリラが直面する脅威は存在しており、継続的な努力が求められています。