米国大統領ドナルド・トランプ氏は、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領とアルメニアのニコル・パシニャン首相をホワイトハウスに招き、歴史的な平和サミットを開催すると発表しました。このサミットは、長年にわたり領土紛争、特にナゴルノ・カラバフ地域を巡って対立してきた、旧ソ連邦構成国であるアルメニアとアゼルバイジャン間の平和合意を最終決定することを目的としています。
提案されている合意では、米国はアルメニア領内に「トランプ国際平和と繁栄の回廊」(TRIPP)と名付けられた43キロメートルの戦略的回廊の開発権を取得します。この回廊は、アルメニアを経由してアゼルバイジャンとその飛び地であるナヒチェバンを結び、貿易を促進し、地域の連携を強化するものです。この合意は、2020年の第二次ナゴルノ・カラバフ紛争終結後、地域における米国の影響力拡大の兆候とも見られています。
今回の会談は、両首脳によるこれまでの協議に続くものです。2025年7月10日には、アリエフ大統領とパシニャン首相がアブダビで会談し、国境画定やザンゲズール回廊の開通といった主要課題について話し合いました。これらの会談は平和協定の基礎を築きましたが、一部の点については依然として意見の相違があります。
この平和合意は、特に2023年にアゼルバイジャンが迅速な攻勢で奪還した、アルメニア系住民が多数を占めるナゴルノ・カラバフ地域を巡る数十年にわたる紛争に終止符を打つ可能性があります。ホワイトハウスでの合意署名は、南コーカサス地域における平和と繁栄の醸成における米国の中心的な役割へのコミットメントを強調するものです。
この動きは、地域で伝統的に大きな影響力を持っていたロシアの影響力が低下し、米国の紛争解決への関与が増大する機会を生み出しています。アナリストは、この合意がアゼルバイジャンによるアブラハム合意への加盟への道を開き、地域の外交的・経済的関係を強化する可能性があると指摘しています。アゼルバイジャンは、イスラエルとの長年にわたる強固な関係を維持しており、アブラハム合意への参加は、中東、コーカサス、中央アジアを結ぶ架け橋としての役割を強化する可能性があります。
平和合意の正式な署名は、今週金曜日にホワイトハウスで予定されており、アルメニアとアゼルバイジャンの関係における転換点となる可能性があります。合意の正確な詳細は、署名式で明らかにされる予定です。この合意は、地域の経済的機会を拡大し、長年の緊張関係を解消する可能性を秘めています。