中国の蘇州大学の研究者チームが、室内光から42%という高いエネルギー変換効率を持つペロブスカイト太陽電池を開発しました。この技術は、IoTデバイスなどへの持続的な電力供給に新たな可能性を開くものです。
研究チームは、「ハイブリッドインターロック自己組織化単分子膜」という手法を用いて、単分子膜と基板間の結合を強化し、42%の室内光エネルギー変換効率と6,000時間の連続寿命を達成しました。実験では、デスクランプの光でLEDや電子値札を駆動させることに成功しています。研究者らは、この成果が実用化に向けた重要な一歩であるとコメントしています。
ペロブスカイト太陽電池は、その調整可能なバンドギャップ特性により、太陽光だけでなく室内照明の波長にも適応可能です。軽量性、柔軟性、低コスト製造といった利点から次世代エネルギー技術として期待されています。今回の研究は、ペロブスカイト太陽電池の課題とされてきた安定性や耐久性の克服に向けた進展を示しています。
この分野では、英国のユニバーシティ・カレッジ・ロンドン（UCL）の研究者も「トリプルパッシベーション」という手法で37.6%の変換効率を達成しており、世界中でペロブスカイト材料の技術開発が進められています。
この技術革新は、IoTデバイスやスマートホーム機器の普及に大きな影響を与えると予想されます。バッテリー交換の手間や廃棄物の削減に貢献し、メンテナンスフリーで環境に優しい未来を実現する可能性を秘めています。IoTデバイスの増加に伴い、これらの小型電子機器に安定した電力を供給する手段としての重要性は増していくでしょう。