世界最大級の凧型システム、中国が高高度風力発電の実証試験に成功

編集者: Татьяна Гуринович

中国能源工程公司(China Energy Engineering Corporation)は2025年11月12日、高高度の風力資源を利用して発電を行う、世界最大級の凧型システムの試験を成功裏に実施しました。この重要な実証試験は、内モンゴル自治区のアラシャン左旗で行われ、中国における高高度風力発電(AWE: Airborne Wind Energy)技術開発の新たな節目となりました。AWE技術は、従来の風力タービンとは一線を画し、より高い高度に存在する、より強力で安定した風を活用する点が最大の特徴です。

今回の試験で使用されたメインの凧は、表面積が5,000平方メートルにも及びます。この巨大な凧は、まずヘリウム気球の助けを借りて300メートルを超える高さまで持ち上げられました。空中で展開された後、凧は牽引ロープを通じて地上の発電機を駆動させ、電力生成を実現しました。さらに、システムの拡張性を確認するため、それぞれ1,200平方メートルの小型凧2基も同時に展開され、その運用能力が実証されました。

このシステムは、中華人民共和国で初めての高高度風力発電に関する国家研究開発プロジェクトの一環として開発が進められています。この革新的な技術の主要な利点として、従来のウィンドファームと比較して資源の大幅な節約が挙げられます。具体的には、潜在的な土地占有面積の削減率は95パーセントに達し、鉄鋼消費量も90パーセント削減可能です。加えて、発電コストの削減効果は約30パーセントと試算されており、経済的な優位性も期待されています。

この10 MW(メガワット)級のシステムは、年間で約2,000万キロワット時(kWh)の電力を生成できると見込まれており、これは約10,000世帯の電力需要を賄うのに十分な量です。従来の風力タービンが最大200メートルの高さで稼働するのに対し、この技術は300メートルを超える、より密度が高く持続的な風の利用を目指しています。将来的には、5キロメートル(5,000メートル)を超える超高高度での商業運用も視野に入れられています。

中国電力工程諮詢集団有限公司のチーフ技術専門家である霍少磊(Huo Shaolei)氏は、次の段階では、複数の凧を用いた数年間にわたる包括的な試験が必要になると述べています。発電テストの本格的な開始は2026年末までに計画されています。この段階的な検証アプローチは、新しいエネルギー技術を社会に導入する際の常道です。中国は世界の風力発電設備容量において首位を維持していますが、このような研究は、クリーンエネルギー分野における技術的優位性と自給自足を目指す同国の強い決意を明確に示しています。空力抵抗を利用する大規模な飛行装置を安定的に管理・運用することは、AWE技術の商業化への移行に向けた極めて重要なステップとなります。

ソース元

  • osel.cz

  • People's Daily Online

  • South China Morning Post

  • CGTN

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