Google、2027年までにテキサス州のデータセンターに400億ドルを投資

Alphabet Inc.の傘下企業であるGoogleは、2025年11月、テキサス州内に3つの新しいデータセンター・キャンパスを建設するため、400億ドル（約6兆円）の資金的コミットメントを発表しました。この大規模な取り組みは、2027年までに完了する予定であり、人工知能（AI）技術とクラウドサービスの進化によって引き起こされる計算需要の増大に直接的に対応するものです。

Googleがすでに2つのセンターを運営しているダラス近郊のイベントに出席したテキサス州知事のグレッグ・アボット氏は、この投資によりテキサス州が米国におけるGoogleからの最大の投資受領地となることを強調しました。インフラ拡張計画には、ハスケル郡に2つ、アームストロング郡に1つのセンター建設が含まれています。特に、ハスケル郡の施設の一つは、地域の電力系統への負荷を最小限に抑えるため、新しい太陽光発電所と蓄電池システムを統合する設計となっています。

AlphabetのCEOであるサンダー・ピチャイ氏は、今回の投資が同社のAI分野における地位を確固たるものとし、数千の雇用を創出するだけでなく、大学生や電気技師見習いに対する専門的な訓練機会を提供すると強調しました。このインフラ整備は、地域経済に大きな恩恵をもたらすことが期待されています。

さらに、Googleはテキサス州の農業イニシアチブを支援するため、200万ドルを拠出します。これは、Indigo AgおよびN-Dripと提携し、再生農業と灌漑効率の向上に焦点を当てたものです。なお、データセンターの運営においては、最新の空冷システムを利用することで、水消費量の抑制に重点が置かれています。

この発表は、テクノロジー業界の巨人たちがAIインフラストラクチャの構築を急ピッチで進めているという、現在の状況を背景に行われました。Googleの主要な競合他社であるMicrosoft、Meta Platforms、Amazonなども、専門的なデータセンターに巨額の資金を投じています。例えば、Anthropicは米国内のAIインフラに500億ドルの投資を公表しており、またOpenAIは4年間で5000億ドルを投じる超大型プロジェクト「スターゲイト」を打ち出しています。

この戦略的な方向転換に対する市場の反応は、概ね穏やかながらも前向きなものでした。親会社であるAlphabet Inc.（GOOGL）の株価は、2025年11月16日時点で276.41ドルで取引されています。AIの計算能力に対する需要は、2023年初頭と比較して2025年末までに60倍に増加すると予測されており、技術的優位性を維持するためには、このような大規模な資本投下プロジェクトが不可欠です。テキサス州は、比較的低いエネルギーコストと広大な土地資源を有していることから、データセンター建設の優先的な場所として選ばれています。