EU、中国産鉄鋼の輸入枠半減・関税引き上げを提案、国内産業保護へ
編集者: Ирина iryna_blgka blgka
欧州連合(EU)は2025年10月7日、世界的な鉄鋼過剰供給、特に中国からの輸入圧力に対抗するため、国内鉄鋼産業を強化する抜本的な提案を発表しました。この提案には、関税無料の鉄鋼輸入枠を現在の約半分に大幅削減し、新たな枠を超えた分には50%の高関税を課す内容が含まれています。これは、2026年半ばに期限切れとなる現行のセーフガード措置に代わるもので、現在EUは26種類の鉄鋼製品に輸入枠を適用しており、その枠を超えた量には25%の関税を課しています。欧州鉄鋼メーカーが競争できる環境を再構築することを目的としています。
欧州鉄鋼連盟(Eurofer)によると、欧州の鉄鋼産業は深刻な危機に直面しており、過去1年間で1200万トンの生産能力が閉鎖され、18,000人の雇用が失われました。2008年以降では、10万人の雇用と2600万トンの生産能力が失われています。EUの産業担当コミッショナーであるステファン・セジュール氏は、「欧州の鉄鋼産業は崩壊寸前であり、投資、脱炭素化、そして競争力の回復のために保護する必要がある」と強調しました。この提案は、EUの年間輸入枠を2013年以来の水準である1830万トンに削減するもので、これは2024年の輸入実績と比較して約47%の削減となります。これにより、国内生産の増加が促されると見られています。
この動きは、米国との連携を強化し、中国の広範な鉄鋼過剰生産問題に対処する意図も含まれています。2023年には、中国が世界の粗鋼生産量の55.1%を占め、EUは6.8%、米国は4.4%でした。EUと米国は、鉄鋼・アルミニウムの輸入規制について協議を進めており、両国内市場を安価な供給網から保護することを目指しています。欧州鉄鋼産業は、太陽光パネル、風力タービン、電気自動車などの再生可能エネルギーインフラに不可欠な素材を供給しており、EUの野心的なエネルギー移行目標達成の鍵を握っています。直接雇用は約30万人に及びますが、現在の傾向が続けば、さらに230万人の間接雇用が失われるリスクがあります。
Euroferのデータによると、2024年のEUへの鉄鋼輸入量は2740万トンでした。今回の提案による関税無料輸入枠の市場シェア13%という上限は、熱延コイル(HRC)の場合、2024年の輸入量と比較して約35%削減され、年間約570万トンとなります。EU経済において2150億ユーロの価値を持つ鉄鋼産業は、中国が主な要因とされる世界的な過剰供給に直面しています。提案されている措置は、EUの設備稼働率を現在の60%から80%に引き上げることを目指しています。この新たな保護措置は、EU加盟国と欧州議会の承認を経て、2026年半ばに失効する現行のセーフガード措置に代わるものとなります。この動きは、米国の鉄鋼に対する50%の関税に対抗し、米国との交渉を有利に進めるための布石とも見られています。しかし、中国商工会議所EU(CCCEU)は、この措置が自動車、機械、建設などの下流産業に悪影響を与える保護主義的な一歩であると批判しています。
ソース元
TUOI TRE ONLINE
S&P Global
AP News
BusinessToday
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