モルディブ、2007年以降の出生者を対象に世界初の恒久的なタバコ禁止措置を導入

モルディブ共和国は、公衆衛生分野において前例のない画期的な一歩を踏み出しました。2025年11月1日より、2007年1月1日以降に生まれたすべての国民に対し、タバコ製品の消費を恒久的に禁止する法律を施行する運びとなりました。この重要な法律は、モハメド・ムイズ大統領（Dr. Mohamed Muizzu）によって2025年5月21日に署名されました。これにより、モルディブはニコチン依存症から解放された世代を育成するという国家的な目標を掲げ、世界の法制度における新たな基準を設定したことになります。

この新しい取り組みは、既存のタバコ規制法（Law No. 15/2010）をさらに発展させたものであり、将来の世代の健康に対する深い配慮を示すものです。特筆すべきは、規制の対象が従来の紙巻きタバコにとどまらず、現代的なニコチン含有製品にも及んでいる点です。すべての年齢層を対象に、電子タバコおよびベイピング装置の輸入、販売、流通、使用が完全に禁止されました。このような包括的なアプローチが取られた背景には、ベイピングをはじめとする新しい形態のニコチン摂取が、特に若年層の間で新たな依存症の波を引き起こしているという認識があります。

法的枠組みは、違反者に対して厳格な責任措置を定めています。例えば、21歳未満の者に対してタバコを販売した場合、最高で50,000モルディブ・ルフィヤ（約3,250米ドル）の罰金が科せられます。また、禁止されているベイピング装置を使用した国民には、5,000ルフィヤ（約325米ドル）の罰金が課される可能性があります。以前よりモルディブは、タバコの入手可能性を制限するという全体的な方針に沿って税関規則を厳格化しており、観光客が持ち込めるタバコは開封済みの1箱のみに制限されています。

この先進的な措置は、国際社会からも高い評価を得ています。国連児童基金（ユニセフ、UNICEF）は、モルディブ政府に対し、国民を喫煙の有害な影響から守るというコミットメントを称賛し、祝意を表明しました。さらに、ムイズ大統領は、タバコ消費削減に向けた政権の努力が認められ、2025年5月19日にWHO事務局長特別賞を授与されました。ヨーロッパが成人喫煙率で先行しているのに対し、モルディブは、まだ成人期を迎えていない人々の依存症形成を未然に防ぐことに焦点を当て、先駆的な発展の道を選択しています。これは、未来の健康を守るための明確な戦略を示しています。