国連安全保障理事会は、国連中間暫定部隊(UNIFIL)のレバノンでの活動を2026年12月31日をもって終了させることを全会一致で決定しました。この決定は、約50年にわたる平和維持活動の終焉を意味します。UNIFIL撤退後、レバノン国軍(LAF)がレバノン南部における治安維持の全責任を担うことになります。
1978年に設立されたUNIFILは、当初イスラエル軍のレバノンからの撤退を確認し、国際的な平和と安全を回復させることを任務としていました。2006年のイスラエル・ヒズボラ紛争後、停戦監視やLAF支援を含む任務が拡大されました。今回の決議では、UNIFILの任務が最終的に延長され、約10,800人の人員が段階的に、かつ安全に撤収するための期間が設けられています。
この動きは、イスラエルによる空爆の継続や不安定な停戦状況など、地域における緊張の高まりの中で行われています。並行して、サウジアラビアとカタールは、ヒズボラの武装解除を支援するためのレバノン南部の新たな経済特区への投資意欲を示しています。しかし、この計画はヒズボラ指導部によって拒否されており、イスラエル軍による領土占領と攻撃が続く限り、武器を手放さない姿勢を崩していません。イスラエル側は、ヒズボラが解散すれば、部隊の撤退を検討する可能性を示唆しています。
米国からの圧力を受けているレバノン政府は、2025年末までにヒズボラの武装解除を行うことを約束しており、そのための包括的な計画策定を軍に指示しました。この取り組みは、レバノン国内に深い亀裂を生じさせており、ヒズボラ関係閣僚が内閣会議を欠席するなど、その影響は顕著です。レバノン軍のトップも、ヒズボラとの直接的な対決の可能性について懸念を表明しており、移行の繊細さが浮き彫りになっています。
レバノン当局者は、LAFが国際的な支援や十分な資金なしに南部地域の治安を独立して維持する能力について懸念を表明しています。UNIFILの広報担当者は、同部隊の不在が地域の安定にとって「危険な空白」を生み出し、公平な監視を困難にする可能性があると警告しています。
UNIFILの任務終了は、一部からはレバノンの主権回復に向けた一歩と見なされていますが、不安定化のリスクを懸念する声もあります。米国は、費用対効果の低さや非効率性を理由に、任務終了を強く推進してきました。一方、フランスなどの欧州諸国は、治安上の課題を悪化させないよう、より段階的な撤退を主張しています。地域の将来的な安定は、LAFへの治安権限の円滑な移行と、ヒズボラの武装解除がもたらす広範な影響にかかっています。