ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のバルカン・セントールロケットは、2025年8月12日、アメリカ宇宙軍(USSF)のUSSF-106ミッションをフロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地から成功裏に打ち上げました。この打ち上げは、バルカン・セントールロケットにとってアメリカ宇宙軍の国家安全保障打ち上げ(NSSL)プログラムにおける初の運用飛行となります。このミッションは、ロシア製メインエンジンの使用に終止符を打ち、アメリカ国内での投資を優先するという国家安全保障戦略に沿ったものです。
今回のミッションの主要ペイロードは、空軍研究研究所(AFRL)が開発した実験衛星ナビゲーション・テクノロジー・サテライト3(NTS-3)です。NTS-3は、次世代GPS衛星向けの先進技術をテストするために設計されており、新しい脅威や干渉に対応できる再プログラム可能なデジタル信号発生器を備えています。今後1年間で、この衛星は位置情報、航法、およびタイミング(PNT)に焦点を当てた100以上の実験を実施し、アメリカの全地球測位システム(GPS)の回復力と信頼性を向上させることを目指しています。NTS-3は、妨害やなりすまし(スプーフィング)の試みを無効化する技術開発における重要な一歩となります。
バルカン・セントールロケットは、ブルーオリジンのBE-4エンジンを搭載し、4基の固体ロケットブースター(SRB)を備えたVC4S構成で打ち上げられました。このロケットは、打ち上げ時に約300万ポンド(約13メガニュートン)の推力を発生させ、高度約35,000キロメートルの静止軌道へペイロードを直接投入する能力を持っています。この打ち上げは、2024年10月の認証飛行中に発生したSRBノズルの異常という課題を乗り越え、ULAの信頼性と能力を証明するものでした。この認証プロセスは2025年3月に完了しています。
NSSLプログラムは、アメリカ国防総省やその他の政府機関のペイロードへの宇宙アクセスを保証することを目的としており、1994年のEvolved Expendable Launch Vehicle(EELV)プログラムから進化してきました。ULAは、この成功により、国家安全保障および商業市場における打ち上げ能力をさらに拡大していきます。