天問一号、星間天体アトラスを近接観測:深宇宙技術の新たなマイルストーン

編集者: Tetiana Martynovska 17

天問-1 火星周回衛星は、10月上旬に約2900万kmの距離で、星間天体3I/ATLASを成功裏に観測しました。CNSAがこのほど発表しました。 https://cnsa.gov.cn/n6758823/n6758838/c10715343/content.html

中国国家航天局(CNSA)は、2025年11月6日、火星周回機である天問一号が、太陽系を通過中の星間天体3I/アトラスの鮮明な観測に成功したと発表しました。この観測は、中国の宇宙探査機による恒星間天体の初観測という快挙であり、人類の深宇宙探査能力が新たな次元へ移行する節目を示唆しています。観測は2025年10月3日に実施され、天問一号は目標天体から約3000万キロメートルという近接距離にあり、この星間天体を最も近くで捉えた探査機の一つとなりました。

史上初めて、中国のTianwen-1軌道機が火星付近で3I/ATLASの映像を捉えました。

天問一号に搭載された高解像度撮像カメラ(HiRIC)は、元来火星表面の詳細撮影を目的としていましたが、今回の観測により、深宇宙の微弱な目標への適用可能性が実証されました。観測データからは、彗星核とその周囲のデブリが明確に捉えられ、その直径は数千キロメートルに及ぶことが確認されています。この成功は、天問一号が2021年2月に火星周回軌道に投入されて以来、4年8か月にわたる安定運用の中で培われた、精密な姿勢制御と高度な撮像戦略の成果です。特に、この目標は火星表面の目標よりも遥かに暗く、搭載光学機器の性能を極限まで引き出す挑戦でした。

星間天体3I/アトラスは、2025年7月1日にチリのATLASサーベイ望遠鏡によって発見された、太陽系を通過中の3番目の確認された星間天体です。この天体は双曲線軌道を描いており、推定年齢が約30億年から110億年とされ、太陽系よりも古い可能性が指摘されています。これは、太陽系外の惑星の構成要素や進化、初期の恒星史を探る上で極めて貴重な「生きた化石」を提供します。

天問一号によるこの拡張ミッションの成功は、今後の探査計画への重要な布石と見なされています。微弱天体の追跡と撮影で得られた技術的知見は、中国の次なる深宇宙探査、特に天問二号ミッションへの直接的な経験値となります。天問二号は、2025年5月29日に打ち上げられ、地球の準衛星である小惑星2016 HO3(カモオアレワ)からのサンプル採取と地球への帰還、そして主帯彗星311Pの探査という、約10年間にわたる壮大な計画を担っています。天問一号の経験の蓄積は、未来の未知なる領域への扉を開く鍵となるでしょう。

ソース元

  • Space.com

  • China's Mars orbiter observes interstellar object 3I/ATLAS

  • China's Tianwen-1 Mars probe's orbiter successfully observes interstellar object 3I/ATLAS

  • China launches spacecraft it says will return samples and yield 'groundbreaking discoveries'

エラーや不正確な情報を見つけましたか?

できるだけ早くコメントを考慮します。