ポルシェは、IAAモビリティ2025で、革新的なT-ハイブリッドパワートレインを搭載した新型911 Turbo S（992.2世代）を世界初公開しました。この新型モデルは、ポルシェ史上最もパワフルな市販911として、パフォーマンス、効率性、ドライビングプレジャーの新たな基準を打ち立てます。
新型911 Turbo Sは、3.6リッターのツインターボ水平対向6気筒エンジンに、2基の電動エグゾーストガスターボチャージャー（eターボ）とコンパクトな1.9kWhの高電圧バッテリーを組み合わせたT-ハイブリッドシステムを採用しています。このパワートレインは、システム全体で最高出力523kW（711PS）、最大トルク800Nmを発揮し、先代モデルから61PSのパワーアップを実現しています。これにより、0-100km/h加速はわずか2.5秒（クーペモデル）を記録し、最高速度は322km/hに達します。開発テストの最終段階では、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおいて、先代モデルから約14秒短縮した7分3秒92というラップタイムを記録しました。
このパフォーマンス向上は、パワートレインの進化だけでなく、洗練されたシャシーと空力性能の最適化にも支えられています。新型911 Turbo Sは、アクティブエアロダイナミクスシステムを搭載しており、フロントの冷却エアフラップ、アクティブフロントディフューザー、可変フロントスポイラーリップ、そして電動調整式のリアウイングが組み合わされています。これらのシステムは、走行状況に応じて冷却性能と空力効率を最適化し、空気抵抗係数をクーペモデルで10%低減させています。特筆すべきは、ウェットモード時にはフロントディフューザーが閉じてブレーキディスクを水しぶきから保護し、ウェットブレーキング性能を向上させる点です。また、標準装備のポルシェダイナミックシャシーコントロール（ehPDCC）や大型化されたセラミックコンポジットブレーキ（PCCB）システム、そしてワイド化されたリアタイヤ（325/30 ZR 21）が、俊敏性と安定性をさらに高めています。
IAAモビリティは、モビリティ、サステイナビリティ、テクノロジーの未来を形作るグローバルプラットフォームとして、自動車業界におけるイノベーションの発表の場となっています。ポルシェがこの重要なイベントで、ブランドの象徴である911シリーズの頂点に、電動化技術を大胆に導入したことは、自動車の進化における新たな時代の幕開けを示唆しています。この新型911 Turbo Sは、単なる高性能スポーツカーにとどまらず、持続可能な未来に向けたポルシェのビジョンと、技術革新への揺るぎないコミットメントを体現しています。ポルシェブランドアンバサダーであるヨルグ・ベルクマイスター氏が語るように、「重量増加はまったく感じられず、むしろクルマははるかに俊敏で、グリップ力も向上しており、サーキットのあらゆるセクションで先代より大幅に速くなっています」という言葉は、この進化がドライバーに新たな次元の体験をもたらすことを示唆しています。新型911 Turbo Sは、その卓越したパフォーマンスと革新的な技術により、スポーツカーの新たなベンチマークとなるでしょう。