トム・クルーズ、第16回ガバナーズ賞授賞式にて念願の名誉オスカーを受賞

ハリウッドを代表する俳優でありプロデューサーでもあるトム・クルーズ氏が、第16回映画芸術科学アカデミー・ガバナーズ賞授賞式において、名誉オスカーを授与されました。この栄誉ある式典は、2025年11月16日、ロサンゼルスのオベーション・ハリウッド内にあるレイ・ドルビー・ボールルームで開催されました。

クルーズ氏にとって、この名誉オスカーは、競争部門で過去4回のノミネートを経験しながらも獲得に至らなかった、キャリア初となるオスカー像の獲得となりました。今回の表彰は、彼の映画界への多大な功績を称えるものであり、特に劇場公開への揺るぎない支援と、スタントコミュニティへの影響力が強調されました。アカデミーのジャネット・ヤング会長は、受賞者のキャリアは映画界全体に消えることのない影響を与え続けていると述べました。

クルーズ氏の受賞は、映画産業のレジェンドたちを広く称える式典の一部として行われました。名誉オスカーは他に、著名な振付師であり女優のデビー・アレン氏、そしてプロダクションデザイナーのウィン・トーマス氏にも贈られました。また、歌手で作詞家でもあるドリー・パートン氏にはジーン・ハーショルト友愛賞が授与されましたが、健康上の理由で授賞式への出席は叶わず、ビデオメッセージを通じて感謝の意を伝えました。

40年以上にわたるキャリアを持つトム・クルーズ氏は、スピーチの中で、「映画を作ることは、私がすることではなく、私自身なのです」と、映画への情熱を力強く語りました。彼を主演に迎え、2026年10月公開予定の未発表作品を撮影中のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は、クルーズ氏のためにスピーチを準備することは「ミッション・インポッシブル」だったとユーモアを交えて表現しました。クルーズ氏はまた、映画が世界を旅することを可能にし、違いへの敬意を育み、共通の人間性を示す助けとなっている点を強調しました。

クルーズ氏は、スティーヴン・スピルバーグ監督や、CAAのエージェントであるケヴィン・フーヴェイン氏を含む同僚たちへの感謝の念も表し、彼らの貢献を「すべてのフレームに携えている」と述べました。さらに彼は、芸術における新しい才能を支援し、映画の持つ力を守るよう呼びかけました。名誉オスカーは1950年から授与されており、映画芸術への生涯にわたる顕著な功績や、例外的な貢献を称える目的があります。

2025年現在、クルーズ氏が出演した映画の全世界興行収入は133億ドルを超えています。彼の過去のオスカーノミネート歴としては、『7月4日に生まれて』（1989年）と『ザ・エージェント』（1996年）での主演男優賞、『マグノリア』（1999年）での助演男優賞、そして『トップガン マーヴェリック』（2022年）での作品賞（プロデューサーとして）の計4部門が挙げられます。このガバナーズ賞授賞式は、2026年3月に予定されている本選のオスカー授賞式に向けた重要な前哨戦としての役割を果たしています。