チリの無声映画の金字塔『死のユサール』、100周年を記念し4K修復で蘇る

1925年に制作されたチリの象徴的な無声映画『エル・ウサール・デ・ラ・ムエルテ』（El Húsar de la Muerte）が、制作から100周年を迎えるにあたり、大規模なデジタル修復を施されました。この作品は、監督と主演をペドロ・シエンナが務めたことで知られています。チリ国内で現存する唯一の長編無声映画である本作は、レコンキスタ時代における愛国者マヌエル・ロドリゲスの伝説的な功績を描いており、物語は彼の1818年の死で頂点に達します。「アンデス・フィルムズ」の傘下で撮影されたこの歴史的傑作は、その文化的・歴史的価値が認められ、1998年に教育省の布告第742号により国家歴史記念物に指定されています。

この度、チリ大学シネマテークは、オリジナルの硝酸塩フィルムを素材として使用し、4K解像度での修復作業を完了させました。この緻密な作業により、1962年および1995年に行われた過去の修復を遥かに凌駕する、極めて高い技術的品質の画像が実現しています。修復プロセスには、ちらつきの除去、フレームの安定化、さらには汚れ、傷、真菌による損傷の修復といった骨の折れる作業が含まれました。これは、チリのアイデンティティを示す文化的および歴史的証言としての映画の重要性を改めて強調するものです。この重要な修復プロジェクトは、文化・芸術・遺産省の視聴覚遺産保存支援プログラムからの資金提供を受けて実施されました。

修復版のプレミア上映は、2025年11月21日に、チリ大学中央棟のメインホールで開催される予定です。特筆すべきは、この場所が1925年の初回上映が行われたのと同じ会場であるという点です。歴史的な場所での再演は、この作品の持つ重みを一層際立たせます。この記念すべきイベントでは、1963年にセルヒオ・オルテガによって作曲されたオリジナルの楽譜が、生演奏で映画に彩りを添えることになっています。

映画音楽の面では、オルテガの楽譜が最近になって発見され、復元されました。これは、フアン・マヌエル・キンテロス教授が芸術学部音楽学科と協力して成し遂げた成果です。マエストロ・オルテガは1938年にアントファガスタで生まれ、アカデミック音楽とポピュラー音楽を融合させた革新的なアプローチで知られています。彼の情熱的な音楽が、この不朽の名作に新たな生命を吹き込みます。

本作において、ペドロ・シエンナは主演のマヌエル・ロドリゲス役を兼任し、撮影監督はグスタボ・ブッセニウスが担当しました。この作品は、チリの無声映画史における礎石として確固たる地位を築いています。公開当時、批評誌「ジグザグ」の批評家たちは、「知性をもって考案され、よく展開された論理の印象」を特筆し、その完成度を高く評価していました。上映以外にも、100周年記念の一環として、全国ツアーの実施や、デジタル教育リソースとしての指導教材の公開、さらにアーカイブ資料と修復プロセス自体に焦点を当てたドキュメンタリー映画の制作が計画されています。これにより、この歴史的傑作の価値が広く再認識されることが期待されています。