タリック・サレ監督の政治スリラー「共和国の鷲」が、2025年9月4日から14日まで開催される第50回トロント国際映画祭(TIFF)で世界初上映されることが決定しました。本作は、エジプトの映画業界における欺瞞とプロパガンダというテーマを探求しており、ファレス・ファレス、リナ・クドリ、ジネブ・トリキが主演を務めます。
TIFFでのワールドプレミアに続き、「共和国の鷲」は2025年11月に開催されるストックホルム国際映画祭のオープニング作品としても上映される予定です。SF Studiosが北欧地域での配給を担当し、2025年秋には劇場公開が予定されています。
本作は、サレ監督が手がけた高く評価されている「カイロ三部作」の最終章となります。「ナイル・ヒルトン・インシデント」と「カイロ・コンスピラシー」といった前作に続き、本作はエジプトの映画界の権力と欺瞞の世界に深く切り込みます。国民的な人気を誇る俳優ジョージ・ファハミ(ファレス・ファレス演)が、当局の意向で製作されるプロパガンダ映画への出演を強いられ、権力の中枢へと引きずり込まれていく様が描かれます。
エジプト出身のスウェーデン人監督であるサレ監督は、その作品で常に権力と理想の間の境界線を押し広げてきました。彼の「カイロ三部作」は、エジプトの政治的・宗教的エリートへの批判を共通のテーマとしており、「共和国の鷲」もその流れを汲んでいます。本作は、映画製作の裏側で繰り広げられる、欺瞞、腐敗、そしてプロパガンダの悪質な下流に引きずり込まれるスター俳優の姿を描いています。
「共和国の鷲」は、トロント国際映画祭のセンターピース部門で上映され、世界中の映画界の功績を称えます。ストックホルム国際映画祭は、革新的で示唆に富む映画を通じてスウェーデンの映画レパートリーを広げることを目指しており、本作がそのオープニングを飾ることは、映画祭の意欲を象徴しています。この作品は、タリック・サレ監督と主演のファレス・ファレスにとって、長年の協力関係の集大成とも言えるでしょう。彼らは過去にも「メトロピア」やHBOの「ウエストワールド」などで共に仕事をしており、ファレス・ファレスはサレ監督にとって「最高の俳優の一人」と評されています。本作は、スウェーデン、フランス、デンマーク、フィンランド、ドイツの共同製作であり、アラビア語映画としては異例の大規模プロダクションとなっています。