スペイン映画界のアイコンであるカルメン・マウラが、マリアム・トゥザニ監督の新作映画「カジェ・マラガ」で、2025年8月29日に開催される第82回ヴェネツィア国際映画祭の「ヴェネツィア・スポットライト」部門にてワールドプレミア上映されることが決定しました。
本作は記憶と帰属意識をテーマに、モロッコ・タンジェに住む79歳のスペイン人女性マリア・アンヘレス(カルメン・マウラ)が、マドリードから来た娘に自宅の売却を阻止しようと奮闘する物語です。人生の後半における自己発見と、失われかけた愛や官能性の再発見を描いています。トゥザニ監督は、自身の記憶と深く向き合い、祖母がタンジェで過ごした人生からインスピレーションを得て、自身のスペイン語での初監督作品として本作を制作しました。
カルメン・マウラは、50年以上にわたるキャリアで数々の賞を受賞してきた名女優であり、ペドロ・アルモドバル監督作品への出演で国際的な名声を確立しています。一方、マリアム・トゥザニ監督はモロッコ出身の気鋭の映画製作者で、「ブルー・カフタン」や「アダム」といった作品で国際的な評価を得ています。
ヴェネツィア国際映画祭は、世界で最も歴史のある映画祭の一つであり、毎年秋の映画シーズンの幕開けを告げる重要なイベントです。「ヴェネツィア・スポットライト」部門は、革新的な作品や新たな視点をもたらす作品に焦点を当てています。本作はヴェネツィアでのプレミア上映後、9月にはトロント国際映画祭で北米プレミアを迎える予定です。
映画が記憶や帰属意識をどのように描き出すかは、観客の自己認識や他者への理解に深く影響を与えることがあります。本作が描く、過去の記憶と現在の生活が交錯する中で、人はどのように自己のアイデンティティを再構築し、新たな繋がりを見出すのか。タンジェという異文化の地で繰り広げられるマリア・アンヘレスの物語は、人生のあらゆる段階で、自身のルーツや愛する場所との絆を再確認することの普遍的な重要性を浮き彫りにするでしょう。