2025年9月10日、地球は前例のない規模の地磁気嵐に見舞われました。ロシア科学アカデミー応用天文研究所のニコライ・ジェレズノフ上級研究員によると、この現象の原因は現時点で特定されていません。
通常、地磁気嵐は太陽フレアやコロナ質量放出（CME）といった太陽活動に起因しますが、今回の嵐ではこれらの兆候は観測されませんでした。このため、科学者たちは地球の磁気圏内部のプロセスが原因である可能性を推測しており、現在、原因究明に向けた調査が進められています。
地磁気嵐は、太陽風と地球の磁気圏との相互作用によって引き起こされる、磁気圏の一時的な擾乱です。太陽からのプラズマと磁場構造の放出が地球に到達すると磁気圏を圧縮し、太陽風の磁場が地球の磁場と相互作用することで、磁気圏へのエネルギー伝達が増加します。これにより、磁気圏内のプラズマの動きや、磁気圏・電離層の電流が増大します。
過去の事例では、1989年3月13日に発生した強力な地磁気嵐がカナダで大規模な停電を引き起こし、600万人が9時間にわたり電力供給を受けられない事態となりました。一般的に、太陽活動が活発な時期には地磁気嵐の発生頻度が高まります。
今回観測された原因不明の地磁気嵐は、地球の磁気圏の複雑さや、太陽活動以外の要因が影響を及ぼす可能性を示唆しています。科学者たちは、この未曽有の出来事を理解するため、さらなる観測と分析を進めており、宇宙天気現象の予測と理解における継続的な課題が浮き彫りになっています。