移動の遅い気圧の谷がフィジーに豪雨、災害当局が警戒を呼びかけ

編集者: Tetiana Martynovska 17

西部の South Island で今夜、激しい雨が降り始め、火曜日の夜まで続く見込みです。

現在、フィジー諸島は、移動が緩慢な気圧の谷の影響下にあり、その結果、ビチレブ島やバヌアレブ島を含む複数の島嶼で顕著な降雨が観測されている。この気象状況を受け、フィジー気象局(Fiji Meteorological Service: FMS)は大雨警報を発令した。これに伴い、国家災害リスク管理オフィス(National Disaster Risk Management Office: NDRMO)は、鉄砲水のリスクが高まっているとして住民に厳重な注意を促している。

FMSは、世界気象機関が指定する地域特別気象センターの一つとして、南西太平洋海域の熱帯低気圧情報の収集とサイクロン警報の配信を担っている。この情報発信能力の強化は、JICAによる広域防災システム整備計画などの支援を通じて図られてきた経緯がある。地盤が既に飽和状態にあるため、当局は土砂災害の発生可能性が増大していると指摘し、不要不急の移動の自粛と、河川や水路近辺での最大限の警戒を勧告している。

過去にも、2012年1月や2016年2月など、ナンディタウン周辺では繰り返し甚大な洪水被害が発生しており、国際空港を擁する同地域は、観光産業と経済活動の中心地として洪水に対する脆弱性が指摘されてきた。NDRMOは、過去の教訓に基づき、住民の安全確保を最優先事項として対応を進めている。

今回の低気圧の動きは、気候変動の影響による洪水被害の激甚化が懸念される中、フィジーが直面する自然災害リスクの一端を示している。例えば、2023年初頭のサイクロン・ジュディおよびケビンでは、人口の約5分の1にあたる約20万人が影響を受け、重要インフラの損壊が浮き彫りとなった。こうした背景から、日本政府は国際移住機関(IOM)と連携し、早期警報システムの強化計画を推進しており、2025年9月24日には、Starlink通信機器を含む機材がフィジー農村・海洋開発・国家災害リスク管理省に引き渡された。これは、通信インフラが限定的な遠隔地での迅速な情報共有と避難指示伝達を可能にし、災害対応力の向上を目的としている。

FMSは、日々の予報に加え、周辺諸国の気象技術者育成にも貢献し、大洋州地域の中核拠点を目指している。しかし、今回の低気圧のように移動が遅いシステムは、特定の地域に長期間にわたり大量の雨をもたらすため、既存の排水能力や河川の許容量を超過しやすい。そのため、構造物対策と非構造物対策の両面からのアプローチが不可欠である。当局は、ハザードマップの認識強化や災害管理体制の強化といった非構造物対策の重要性も強調しており、住民一人ひとりのリスク回避行動が被害軽減の鍵となる。

フィジー政府は、過去の洪水被害を踏まえ、ナンディ川流域の総合的な洪水対策計画策定を進めており、住民の意見を取り入れたボトムアップ型アプローチも採用されている。今回の事象は、既存の防災インフラと住民への啓発活動が、今後も続く気象の脅威に対して持続的な対応力を維持できるかという、地域全体の課題を再認識させるものとなった。当局は、最新の気象情報に基づき、住民に対し、安全な場所への退避や水路からの距離確保を継続的に呼びかけている。

ソース元

  • Scoop

  • FijiLive

  • FBC News

  • Fiji Meteorological Service Alerts

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