大型台風「海神」は2025年10月5日、広東省徐聞県に現地時間14時50分頃に上陸し、中国南部の広東省、海南省、広西チワン族自治区に影響を与え、猛烈な雨と時速150キロメートルを超える風をもたらしました。この影響で、沿岸部の約35万人の住民が避難しました。
ちょうど国慶節の休暇期間と重なったため、多くの旅行者に混乱が生じました。主要都市では公共交通機関、建設業、商業活動が広範囲にわたり停止され、日常生活に大きな影響が出ました。水資源部も緊急の洪水対策を発動し、特に茂名港周辺での深刻な洪水リスクに備えました。
「海神」は2025年に中国南部を襲った複数の台風のうち、9月以降に上陸した4番目の台風となりました。これにより、以前の台風の影響が残る地域では、さらなる被害が懸念されました。広東省の雷州半島や沿岸部では、風速が12~13級(毎秒32.7~37.9メートル)に達し、一部地域では15~16級(毎秒41.5~46.1メートル)の突風が観測されました。広西チワン族自治区の防城港では、レベルIIIの緊急対応が発令されました。
航空業界も大きな影響を受け、複数の航空会社で361便の欠航と2,142便の遅延が発生しました。海南省の海口美蘭国際空港では、多くの便がキャンセルされ、約63万2千人の乗客の移動に支障が出ました。この混乱は、北京、上海、香港などの主要都市にも及び、多くの旅行者が足止めされました。
台風「海神」は、上陸後徐々に弱まる見込みで、西北西に進路を取り、北部湾へ向かうと予測されていますが、10月6日にかけても影響地域では強い雨と風が続くと予報されています。中国政府は、広東省と海南省に対し、復興支援として2億元(約2800万米ドル)の援助を決定しました。これは、被災地の早期復旧と住民生活の安定化を目指すものです。