南極リトル・ドームC、120万年前の氷床コア掘削に成功:気候変動の「中期更新世の遷移」に新知見
編集者: gaya ❤️ one
国際的な科学者チームは、南極大陸東部のリトル・ドームC(LDC)地点において、地球の気候史における最古級となる120万年前の氷床コアの抽出を完了しました。この偉業は、欧州委員会が資金提供する「Beyond EPICA – Oldest Ice」プロジェクトの一環として達成されたものであり、研究者たちは約2.8キロメートルに及ぶ氷床を掘削し、基盤岩に到達しました。この氷床コアには、過去の大気組成を封じ込めた気泡が含まれており、その分析を通じて、百万年前の地球の気温や温室効果ガスの濃度に関する比類なき知見が得られると期待されています。
今回の成果は、気候研究における重要な空白期間を埋めるものです。特に、約120万年前から90万年前にかけて発生した「中期更新世の遷移(MPT)」と呼ばれる気候サイクルの根本的な変化に焦点が当てられています。この時代、地球の氷期サイクルはそれまでの約4万1000年周期から、より長く厳格な約10万年周期へと移行しました。このサイクルの転換期を直接観測できるコア記録は、過去20年間の気候研究の基準であった80万年前の記録を大幅に更新するものです。
摂氏マイナス35度にも達する極寒と強風が吹き荒れる過酷な環境下で、掘削作業は数年間にわたり南極の夏ごとに続けられました。プロジェクトコーディネーターであるカルロ・バルバンテ氏は、このコアが地球の炭素循環と気温の相互関係を明らかにする歴史的な瞬間であると強調しています。抽出されたコアは、ヨーロッパ各地の研究所へ送られ、今後数年間にわたり詳細な分析が施される予定です。
この深層コアは、太陽活動や地球の軌道サイクルの変動に対する地球の気候の応答を理解する上で不可欠な情報源となります。研究者たちは、この遷移の背後にあるメカニズム、特に海洋の炭素循環や大気中の二酸化炭素濃度の役割解明に期待を寄せています。さらに、リトル・ドームCの氷床下部の変形した古い氷の分析を通じて、東南極の氷床の歴史や氷床下での氷の挙動に関する仮説検証も目指しています。
ソース元
Рамблер
Proceedings of the National Academy of Sciences
ScienceDaily
Nature
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