グロスター市内の旧デパート跡地をグロスター大学シティキャンパスとして再開発するプロジェクトにおいて、考古学者たちが317体もの人骨と数多くの遺物を発掘しました。これらの発見は、ローマ時代、中世、そして近世にかけてのグロスターの豊かな歴史を垣間見せてくれる貴重なものです。
発掘現場は、ローマ時代の都市北東部に位置していたと考えられており、18世紀に建てられたセント・オルデイト教会に関連するレンガ造りの埋葬施設が83基見つかっています。また、ローマ時代の邸宅跡、陶器の破片、そして2世紀の道路跡なども発見されており、この地域が長きにわたり継続的に人が住んでいたことを示唆しています。
特に注目すべきは、発掘された人骨の予備的な歯の分析から、16世紀の食生活に特徴的な、糖分の多い食事がうかがえる点です。この時代、砂糖は希少で高価なものでしたが、次第に貴族の間で広まり、食文化に影響を与え始めました。歴史的な記録によれば、この頃の過剰な砂糖摂取は、エリザベス1世のような当時の権力者でさえ歯の健康に影響を与えていたとされています。今回の発見は、過去の人々の生活様式と健康状態を具体的に結びつける貴重な手がかりとなります。
これらの発見は、2025年7月に開催されたグロスター考古学フェスティバルでも紹介され、ガイドツアーやワークショップを通じて一般市民が市の重層的な過去に直接触れる機会が提供されました。
グロスター大学は、これらの考古学的発見を新しいシティキャンパスに統合する予定で、キャンパスは2025年8月18日に開校します。キャンパス内では、遺物や構造物が保存・展示され、教育環境の向上と地域の遺産への敬意が示されることになります。今回の発見は、ローマ時代から中世、近世へと続くグロスターの歴史的重要性、そして時代を超えて受け継がれてきた人々の営みの連続性を改めて浮き彫りにしています。