オラクル社の共同創業者であり会長を務めるラリー・エリソン氏が、同社の株価急騰により、推定資産3,930億ドル(約60兆円)を記録し、世界で最も裕福な人物となりました。この躍進の背景には、人工知能(AI)分野における大規模な契約がオラクルの業績を押し上げていることがあります。
特に、OpenAIとの間で締結されたとされる総額3,000億ドル(約44兆円)規模のクラウドコンピューティング契約は、オラクルの将来的な収益見通しを大きく変えるものと見られています。この契約は2027年から開始される予定で、AIのトレーニングに必要な膨大な計算能力を提供することを目指しています。また、オラクルはAIワークロードの主要なインフラプロバイダーとしての地位を確立しつつあり、AI需要の爆発的な増加が同社の中核事業であるクラウドインフラサービスにとって大きな転換点となっています。
エリソン氏のビジネスにおける成功は、彼の多岐にわたる個人的な関心事にも表れています。彼は熱心なヨット愛好家であり、自身のヨット「武蔵」は日本の武将、宮本武蔵にちなんで名付けられています。また、パイロットの資格も持ち、プライベートジェットを複数所有するなど、プライベートジェットでの移動も行っています。
一方、エリソン氏の息子であるデヴィッド・エリソン氏は、メディア業界で活躍しており、最近ではスカイダンス・メディアを通じてパラマウント・グローバルを約80億ドル(約1兆2,000億円)で買収し、ハリウッドの再編に大きな影響を与えました。この買収は、ストリーミング時代におけるメディア業界の新たな戦略を示すものとして注目されています。
AIとクラウドコンピューティングの融合は、現代のビジネス環境において不可欠な要素となっており、多くの企業がAI機能の取得やアプリケーション開発にクラウドサービスを活用しています。オラクルは、このAIとクラウドの波に乗り、データベースソフトウェアのライセンス事業で培った強固な基盤を活かし、AI時代のインフラパートナーとしての地位を確固たるものにしています。この流れは、AI技術の進化と普及が、企業の競争力強化にどのように貢献するかを示す好例と言えるでしょう。