テスラ、2025年第3四半期決算を発表：売上高は過去最高を記録するも、投資圧力で利益は低迷

テスラは2025年10月22日、2025年第3四半期の決算報告を公表しました。この報告によると、総売上高は281億ドルに達し、前年同期比で12%増加という記録的な成長を達成しました。この驚異的な売上増は、主に497,099台という車両納入台数によって支えられています。特に、四半期末に終了する予定だった米国の連邦税額控除を駆け込みで利用しようとする消費者の強い需要が、納車台数を押し上げる大きな要因となりました。

しかしながら、売上高の増加とは裏腹に、純利益は大幅な減少に見舞われました。GAAPベースの純利益は前年比37%減の14億ドルに留まり、営業利益も40%減の16億ドルとなりました。この収益と利益の間の乖離は、同社の戦略的な優先順位の変化と、営業費用の著しい増加を反映しています。セグメント別に見ると、自動車部門の売上高は212億ドル（6%増）でしたが、エネルギー生成および貯蔵部門は目覚ましい成長を見せ、売上高は44%増の34億ドルを計上しました。

利益率を圧迫した主要因の一つとして、規制クレジットの販売による収益が44%も減少し、4億1700万ドルに留まったことが挙げられます。イーロン・マスクCEOをはじめとする経営陣は、短期的な収益性の低下について、大規模な投資の必要性によるものだと説明しました。実際、営業費用は50%も急増しており、これは人工知能（AI）や自動運転に関連する研究開発プロジェクトの拡大に直接的に関連しています。

テスラは、長期的な戦略計画を改めて確認しました。具体的には、2026年に向けて、Cybercab、Tesla Semi、Megapack 3、そして人型ロボットOptimusの生産ラインの本格的な量産開始を目指しています。これらの積極的な投資は、同社を単なる自動車メーカーから「インテリジェント・カンパニー」へと変貌させるための基盤として位置づけられています。財務状況自体は堅固であり、報告期間末時点の現金および現金同等物は416億ドルに上り、フリーキャッシュフローも過去最高の40億ドルを達成しています。

一方で、投資家たちは短期的な業績見通しが明確に示されなかったことに懸念を表明しました。これは、野心的なプロジェクトがいつ収益化されるのかという点に関して、不確実性の認識を強めています。今回の決算結果は、テスラが現在進行中の大規模な変革フェーズにおいて、一時的な収益性の指標悪化を許容しつつ、莫大なリソースを投入する必要があることを示唆しています。長期的な成長の可能性と、目先の利益のトレードオフが鮮明になった形です。