2025年、オラクル(Oracle)の共同創業者兼CTOであるラリー・エリソン氏は、同社のクラウドコンピューティングと人工知能(AI)分野での目覚ましい成功を背景に、世界で2番目に裕福な人物へと躍進しました。推定純資産は2,759億ドルに達し、マーク・ザッカーバーグ氏やジェフ・ベゾス氏を上回る快挙を達成しました。
この資産増加の主な要因は、オラクルの株価が6月だけで32%も急騰したことです。これは、AIソリューションとクラウドインフラストラクチャサービスに対する需要の拡大に支えられています。特に、2025年1月には、AIインフラに今後4年間で最大5,000億ドルを投資する「スターゲイト(Stargate)」プロジェクトが発表され、オラクルとOpenAI、ソフトバンク(SoftBank)との戦略的パートナーシップが注目を集めました。エリソン氏は、この「スターゲイト」プロジェクトを通じて、AIを活用したmRNAがんワクチンの開発がわずか48時間で可能になる可能性に言及しています。
オラクルの業績は目覚ましく、2025年第1四半期には、NVIDIAのAIチップに関連する42件のGPU契約(総額30億ドル)に支えられ、クラウドインフラストラクチャ(IaaS)の収益が前年同期比45%増の22億ドルに達しました。また、第4四半期には、クラウド収益全体が27%増の67億ドルとなり、そのうちオラクルクラウドインフラストラクチャ(OCI)の収益は52%増の30億ドルを記録しました。アナリストからは、オラクルのAIインフラへの積極的な投資と、マルチクラウド戦略が競争優位性を確立しているとの見方が出ており、将来的な市場価値は1兆ドルに達する可能性も指摘されています。
エリソン氏は、これらの金融的成果に加え、ハワイのラナイ島(Lanai)のほぼ全域を2012年に買収したことでも知られています。さらに、健康、クリーンエネルギー、農業分野のイノベーションに焦点を当てた研究センターであるエリソン・インスティテュート・オブ・テクノロジー(Ellison Institute of Technology)の開発にも注力しています。この研究所は、オックスフォード大学とも連携し、人類が直面する喫緊の課題解決を目指しています。
2025年は、ラリー・エリソン氏にとって、テクノロジーリーダーとしての地位を確固たるものにし、AIとクラウドコンピューティング分野におけるオラクルの影響力の大きさを改めて示す、まさに画期的な年となりました。彼の先見の明とオラクルの革新的な取り組みは、テクノロジー業界の未来を形作る上で重要な役割を果たしています。