ニューメキシコ州、全米初の普遍的無償保育を実現へ:未来への大胆な投資

編集者: Olga Samsonova

ニューメキシコ州は、2025年11月1日より、所得に関わらず全ての家庭に対し、無償の普遍的保育を提供するという画期的な取り組みを開始します。これは、州知事ミシェル・ルーハン・グリシャム氏が発表したもので、アメリカ合衆国において前例のない一歩となります。この政策は、単なる支援策にとどまらず、州の未来への戦略的な投資として、家族の安定、労働力参加の促進、そして経済的繁栄の基盤を築くものです。

この大胆な公約の実現は、2022年に可決された憲法改正によって裏付けられています。この改正により、州の永久基金(Land Grant Permanent Fund)から早期幼児教育のために年間1.25%が配分されることになりました。石油・ガス収入によって大きく支えられているこの基金は、現在約100億ドル規模に達しており、早期幼児教育への持続的な資金供給を保証しています。この財源の確保は、ニューメキシコ州が早期幼児教育を公共の福祉として位置づけ、その権利を憲法で保障した最初の州となったことの証でもあります。

この普遍的無償保育プログラムは、各家庭にとって年間平均12,000ドルもの節約になると見込まれており、子育て世帯の経済的負担を大幅に軽減します。専門家からは、この取り組みが家族の安定性を高め、親が労働市場に参加しやすくなることで、州全体の経済成長を促進するとの分析が出ています。ニューメキシコ州のこの先駆的なアプローチは、全国の他の州にとって、子育て支援のあり方を示すモデルケースとして注目されています。

さらに、州は保育サービスの供給能力を高めるため、施設建設・改修のための1,300万ドルの低利融資基金を設立しました。また、家庭保育提供者の募集を積極的に行い、保育士の最低賃金を時給18ドルに引き上げるためのインセンティブを提供しています。これは、質の高い保育サービスの提供には、専門職への適切な報酬が不可欠であるという認識に基づいています。2019年に設立された早期幼児教育・保育省(Early Childhood Education and Care Department)は、この包括的なシステム構築の中心的な役割を担っています。

この政策は、ニューメキシコ州が直面する経済的な課題に対し、未来の世代への投資という視点から、希望と機会を創出するものです。子供たちが健やかに成長し、親がその能力を最大限に発揮できる環境を整備することは、州全体の持続的な発展に不可欠な要素と言えるでしょう。

ソース元

  • Honolulu Civil Beat

  • The 19th

  • The 74

  • The Washington Post

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