ベトナムは、持続可能な教育への移行を加速させる重要な一歩として、エコスクール（環境に配慮した学校）の推進に力を入れています。2025年9月19日にハノイで開催されたASEANエコスクールアワード2025のキックオフセミナーでは、「プラスチックフリーの学校：グリーン世代のための行動」をテーマに、この取り組みの重要性が強調されました。
ダン・ティ・キム・チー教授は、従来の「グリーン・クリーン・ビューティフル・スクール」から、より包括的な「エコスクール」モデルへの進化を指摘しました。この新しいアプローチは、気候変動やプラスチック汚染といった喫緊の課題に対処するため、持続可能な消費と循環経済の原則を教育システムに統合することを目指しています。ベトナム政府は、2025年および2030年までに使い捨てプラスチックの削減や海洋プラスチックごみの削減に向けた野心的な国家目標を設定しており、この教育イニシアチブは政策的なコミットメントを反映しています。
フエ市のトンニャット中学校のグエン・ティ・リン・チー副校長は、自然災害の影響を受けた学校での実践的な取り組みを共有しました。同校では、課外活動や創造的なリサイクル活動、グリーンクラブを通じてプラスチックごみ削減教育を優先しています。これにより、生徒たちは若い環境保護活動家となり、その意識を地域社会全体へと広げています。ベトナムにおける環境教育は、体験学習や地域社会の参加を重視しており、環境問題への深い理解と積極的な関与を育むことを目指しています。
ユニセフのレ・アイン・ラン氏は、生徒の行動変容は教育者や管理者から始まることを強調しました。ユニセフは教育訓練省と協力し、気候変動に適応した学校モデルや生徒主導の環境イニシアチブのためのプラットフォームを開発しています。建築家のヴォ・トロン・ギア氏のような建築家は、学校設計に自然を取り入れることが、生態学的な精神を育む上で不可欠であると付け加えています。ヴォ・トロン・ギア氏は、竹などの自然素材を活用し、ベトナムの気候変動への対応という文脈の中で、環境と調和し、レジリエントな学校建築をデザインすることで知られています。
セミナーでは、資源の制約や生徒のナイロン使用習慣の変更といった実践的な課題についても議論され、専門家からは学校がこれらの変化を効果的に実施するための実行可能な解決策が提供されました。エコスクールは、日々の教育、学習、地域社会との関わりに深く根ざした、具体的な運営モデルとなるべきであるという共通認識で一致しました。この動きは、ASEANエコスクールアワード2025のような取り組みによってさらに推進され、地域全体で環境教育と保護活動における優れた成果を称賛し、奨励しています。
このエコスクールへの移行は、地球とのより調和のとれた共存に向けた自然な進歩と捉えることができます。これらのイニシアチブは、生徒たちが環境の積極的な管理者となることを可能にし、集団的な責任感と相互のつながりを育みます。課題を成長と教育における革新の機会と見なすことで、ベトナムは持続可能な未来を創造するための道を切り開いています。