2025年8月20日、ロシアとウクライナ間の平和交渉を巡る国際的な取り組みが進む中、金価格は小幅に上昇しました。欧州市場ではスポット金が0.3%上昇し、1オンスあたり3,326.13ドルを記録。米国の金先物も0.3%高の3,369.70ドルとなりました。
ホワイトハウスは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の会談の可能性について楽観的な見方を示していますが、クレムリンは不確実性を表明しています。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、大統領会談の前に下位レベルでの協議が必要であるとの見解を示しました。スイスは、国際刑事裁判所(ICC)によるプーチン大統領への逮捕状にもかかわらず、ジュネーブでの平和交渉開催を申し出ており、その中立的な外交姿勢と国際外交における実績を強調しています。スイスは過去15年以上にわたり、コロンビア、マリ、ミャンマーなど15カ国以上の和平交渉を支援してきました。
米国大統領ドナルド・トランプ氏は、4年目に突入した紛争終結に向けた首脳会談を提唱していますが、停戦条件やウクライナへの安全保障に関する合意など、依然として大きな課題が残っています。歴史的に、金は地政学的な不確実性が高まる時期に安全な避難先として機能し、紛争や経済不安の際には価格が上昇する傾向があります。
一方、米国ドル指数は週初来の高値を記録した後、安定を保っています。市場参加者は、ジャクソンホール・シンポジウムでの連邦準備制度理事会(FRB)議長ジェローム・パウエルの講演に注目しており、9月の利下げの可能性に関する見解を求めています。FRBの7月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録や失業保険申請件数などの経済指標も、中央銀行の政策の方向性に関する手がかりを提供すると予想されています。市場は年内に2回の25ベーシスポイントの利下げを織り込んでおり、最初の利下げは9月に行われる可能性があります。
2025年8月20日現在、SPDRゴールド・シェアーズETF(GLD)は305.27ドルで取引されており、前日比0.547%下落しています。しかし、中央銀行による金需要の増加や、新興国経済の発展は、金価格を下支えする要因となっています。特に中国は、外貨準備の多様化を目指し、金の保有量を増やしており、2025年第3四半期には900トン以上の金を追加購入しました。これは、米ドル資産への依存を減らすという広範な動きを反映しています。